「ウッドストック行き 最終バス」(コリン・デクスター 作 大庭忠男 訳)

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ウッドストック行き 最終バス」(コリン・デクスター 作、大庭忠男 訳。原題 "Last Bus to Woodstock")


TVドラマとしてシリーズ化されたモース警部もののデビュー作。
時は1975年。そのリスクは、特に女性に危惧されながらも、まだまだヒッチハイク旅が盛んだった頃に起きた悲劇を取り上げている。


(あらすじ)
初秋の夕暮れ。イギリス南東部のオックスフォードシャー州にある町、ウッドストックへ行くバスを停留所でジリジリしながら待つ2人の若い女がいた。
遅れているのか、なかなか来ないバスにしびれを切らし、2人はヒッチハイクすることに。
すかさず、女の1人、シルヴィアの魅惑的な肉体に目をくらませた赤い車が2人を乗せる。
ところが、そのシルヴィアはその夜、見るも無惨な姿となってしまったのだった、、、。


古典文学の教師であり、クロスワード作家でもあるデクスター。手紙につづられた単語のスペルミスに実は仕掛けがあったとか、尋問された側の何気ない一言があとで事件解決のキイになってくるとか、細かい箇所で伏線を貼りめぐらせているため、登場人物の性格や行動様式のクセも含め、丁寧に読んでいかないといけない。
最終章近くで判明する真犯人は、まさかの人物。そして、事件を捜査していた側にとっても、まことにやり切れない結末となったのだ。