昔のトマト

 昨日の現場は、忍者で知られる滋賀県甲賀にある、平○堂水口。
担当はトマト。
 このつたないブログを読んで下さっている方で、
「ああ、きのう行ったあの店で、昔のトマトの味のこうのと絶叫して
いた、あのおばはんかいな」
 と、ピンとくる方がいたら、どうぞコメントを下さいませ。

 この商品を販売しているのは、かのラ○レを製造販売している会社
と同じ。
 だからと言うわけじゃないけれど、このトマトにも、ラ○レに負け
ないくらい、思い入れがある。

 一口食べればわかってもらえる。
 限りなく、昔の、あの濃いトマトの味(残念ながら青臭さをも含めた
あの匂いは……やっぱり過去のものだね)。
 間違っても、ここ三十年来の、あの水っぽいトマトではない。

 青臭さゆえに、私は、大学生になるまで、トマトが嫌いだった。
 だから、農業を営む父方の本家を訪れた時、どんなに薦められても、
食べなかった。
 テレビ番組の好みも同じで毎日のように遊んでいた一つ下の従兄弟
はトマトが大好きで、大皿に何倍もお代わりしていたのに。

 時が立ち、匂い控えめのアクの強くないトマトが開発され、市場に
出回り始めると、あらあら、人間って勝手なものだ。
 あの強烈な匂いとクセにがぜん郷愁を覚えるようになった。

 この郷愁は、もしかして、
「今の匂い控えめな納豆なんて納豆やない。ワシは、ワラに包まれた
昔の鼻がひんまがるあの納豆が懐かしい」
 とおっしゃるお客様の心理に通ずるものがあるのかしら。

 ともあれ、このトマトの仕事。
 もっともっとやって、ラ○レ同様、
「商品と心中してもええわ」
 という気分になりたいものだ。