CM効果

 M味噌の「液みそ」に関する投稿文でCMについて言及したが、この商品
に限らず、特にテレビでのCMの効果は決して小さくないことを、デモンス
トレーション体験を通し、私は今までに幾度となく感じたものだ。

 まず、商品の浸透度が違う。
 四月十五日に担当したミ○カン社の「や○しいお酢」でも、四月二十日
に担当したメグミ○クの「お○かにやさしく」でも、商品名を連呼して特
徴を説明するまでもなく、お客様の方からやってきて
「テレビでCMしているあれね。どんな味なの?」
 と、積極的に試食(試飲)していく。
 しかも、CMの内容でお客様側にある程度の予備知識と先入観があるこ
ともあり、その商品が気に入る気に入らないと別として、反応の仕方は手
応えがある場合が大半。

 CMに出ているタレントがごひいきであると、もう一つ反応はよい。
 その典型的な例が、大女優の吉永小百合がCM出演している、植物性の
あの乳酸菌飲料
 
 以前にも投稿したけれど、人間は本来保守的守備的な生き物。今までに
出くわしたことのないもの、すなわち得体の知れないものには、生存本能
が拒否反応を示す。
 ところが、知らぬ者はない小百合さんが、CMでこの新しい飲料を美味
しそうに飲んでいる。しかも、小百合さん、還暦を過ぎたとは思えないほ
ど若々しく、美しい。CMを観る消費者に
「この飲料を飲んでいるから、小百合さんはあのように健康できれいなの
かしら?」
 との良い意味での疑惑をおこさせ、
「まあ、腸の調子がよくなることは事実みたいだし、とすると肌も艶が出
てくるはずだし、私も一度試してみようかな。三本入り178円だし」
 との気にさせる。
 ニクイほど消費者心理をついているのだ。

 これと似たケースが、ト○ラク豆乳ヨーグルト
 長らく売り上げはハテナマークだったのよ、これ。
 それが、美人女優の藤原紀香がCM出演すると状況はがらりと変わった。
 デモしていても
「わっ。わっ。紀香がテレビで食べているヨーグルトやねえ。豆乳は苦手
やけど、一つ、試してみよう」
 と、お客様がアリのように集まってくる。
 CM映像で、紀香の見事なルックスとプロポーションが脳裏に既に焼き
付いているため、ほとんどのお客様は
「あら。意外といけるやん」
 となる。

 かくまで効果のあるCM。
 だが、制作には億の金がかかる。となると、ある程度の資金力がある大
企業でないと無理ということになる。
 事実、某社の営業マンは、ある時、私に言った。
「CMを打てば、うちの商品ももっともっと売れるんだ。もともと品質に
は絶対の自信がある。でも、CMを流す金など、うちの会社にはない」。

 かくして、CMを作る余力のない中小企業はどんなによい商品を作って
も消費者に認知されないがゆえにその商品の売上は伸び悩み、そうこうし
ているうちに、店舗側からは棚の隅に追いやられ、ますます消費者の目に
つきにくくなって売れなくなり……。

 結局は金なのかね。
 悲しいね。

 否!
 別の販売方式もあるはず。
 それを探り、システムとして確立させることに成功する企業が、今後の
流通地図を塗り替えていくのだろう。