コーヒー片手に歳暮を選ぶおっさんたち

エージェンシーに送る二通の報告書が書けたので、これからおこもり美容に入るとしよう。

 一昨日のオリゴ糖を使った大学芋は大好評で、商品(パールエース社の「オリゴのおかげ」)の売上も
上々。
 苦戦したのは、昨日のレギュラーコーヒー(ドリップ式)のギフト。
 レギュラーコーヒーのギフトって、あんなに売れないものなのねえ(溜息)。
 それでいて、香りはやはりインスタントとは全然違うから、試飲はやたら出るのだ。

「おねえさん、コーヒーを入れてくれや」
 歳暮に何を贈ろうかとギフト売場に奥さんと足を向けてきたおっさんたちが寄ってくる。
「ワシのと、嫁さんのと、息子夫婦のとな」
 はなから買う気はないとわかっていても、嫌な顔をするわけにいかないから、いれてあげる。
「はい。これは、コーヒーの最高級とも言われるブルーマウンテンでございます」
 とか何とか説明しても、馬の耳に念仏。おっさんたちは、試飲のコーヒーを片手に、会場をぐるり
とまわる。
「ハムがええかな? いや、せっかくやから酒にしようか?」
「子どもが多い家や。クッキーにしようや」
 いろいろと談義しながら。

 私のすぐ横でインスタントコーヒーのA社のマネキンが、真ん前でやはりインスタントコーヒーの
N社のマネキンがデモ。
 どちらも笑顔がひきつっていた。
 そう! 私と同じ状態だったのよ。
 試飲はパカパカ出るのに、肝心の商品は少しも動かない。

 おっさんたちにとっては、ブルーマウンテンがレッドマウンテンでもいいわけだし、インスタント
ならA社のコーヒーもN社のコーヒーも似たようなものなのよ。

 あまりにみっともない数字を報告書に書くわけにはいかないから、お客様が混み始めた夕方に真実
気合いを入れ、何とか目標を達成した。
 とは言え、疲労困憊。
 帰りの新快速の中ではビールを一杯飲んだだけで、ふわふわとしてきた。
 そのくせ、アタマは冴える。酔えない。眠れない。

 今朝も起き出してしばらく横になっていた。
 肩こりがひどい。気合いを入れた時、変に筋肉に力が入ったのかな?

 まあ、この体験はどこかで役立つだろうけれど。