異常気象でなくて何であろう。
十月も半ばに近付いたというのに、夏と変わらない暑さ。日中気温
が三十一度や二度なんて、これまでにあっただろうか。
こんな中、又もや新たな大型台風到来の知らせ。列島に数百年来と
も言える甚大な損害を与えた台風18号の去就からまだ一月も立って
いないのにと、嘆かわしい限りだったが、まあ、自然の猛威の前に
は、人間なんぞ、吹いて飛んで消えてしまう、まことに儚げな存在
なのであって......。
近畿に住む者には幸いではあった。今度の台風は、この地方は避け
てくれたのだ。
「よかった、よかったワ」
ある店舗の日配部門(乳製品や豆腐、パンなど、日持ちしない商品を
扱う)で発注も担当しているパートさんが胸をなでおろしていた。
「台風やら大雨やら大雪の予報が出ている時の商品仕入れは、すご
い気ィ使うねん。もちろん少なめにとるけれど、それでも余ってし
まう時がある。そしたら、おたくら、宣伝販売の人にも影響がくる
し。余った商品を値下げしたら店の利益がなくなるから、どうして
も、気張って売ってやとハッパかけてしまうよってになあ」
いやはや。たかが天気。されど天気。一喜一憂するのは、農林漁業
をなりわいとしている人たちばかりではない。
写真は、かの台風18号通過後の、我が家の近所を流れる川を写した
もの。土色に変化してしまった水の色が示すごとく、道路は水浸し
となり、線路は陥没し、完全な復旧は未だ遠い。
よくぞ濁流の中を歩いてバス停に向かったものである。
もうこりごりだと、心より思う。
もっとも、こんな非常事態になっても、管理側は下っ端の現場労働
者を何としてでも働かそうとするんだからねえ......どこの業界でも。