ショーツタイブの使い捨てナプキン


乗り物も、家電も、パソコンや携帯電話などの情報機器も、「軽く、より軽く」「薄く、より薄く」
に傾いていったのは、いつ頃からだろうか?
はっきりしていることは、私がマネキンデビューした2004年の初めには、その兆候は既に確固たるものになりつつあったと言うことだ。

デビューまもない私が幾度となくデモを担当した商品の中に、「紙切れのように薄く、羽のように軽いのに、脅威的な吸収量」を売り物にした生理用ナプキンがあった。
ブルーデイの必需品であるナプキン業界にも、ライト化の波は押し寄せていたのである。

私はこの仕事に就いて、「行きたい時にお手洗いに行けない」状態がどんなに辛いか、身をもって知った。
相手あっての業務だから、場を離れられない。
お客さんがいようがいまいが、常にスタンバイしていなくてはならない。
当然、ブルーデイの時は、ブルーデイ特有の不快感の他、下着を汚しはしないか、そちらも心配で、本当に気を揉んだ。
昼の休憩時間まで立ち通しなど珍しくないのが、この仕事だから。
身につけたボトムのラインも変わってしまって不恰好になるけれどナプキンを数枚重ねることで、あるいは健康上のリスクを承知の上でタンポンとナプキンを併用することで、どうにか持ちこたえていたのだ。

似た体験をしていた女性は多かったはずである。その悩みと要望を受け、薄型ナプキンが誕生。
好評だった。
売上も上々。
それでも、個人的に感じていた。
「これで追っつかない人もいるよなあ。現に私がそうだ」。

「ああ、いいですね、こういうナプキン」。
とあるスーパーで、このナプキンをデモしていた私に、その人は言った。
「フォトグラファーの私は現場が野外の時も多いんですが、このサイズと重量なら持ち運ぶにも苦にならないし。願うるなら、これのショーツタイプをつくって下さればもっと」
ショーツ、タイブ、ですか?」
「はい。私は職業がら泊まりがけで仕事をすることも多く、不安になる夜もあるんです、ホテルのシーツを汚しはしないかと。泊まりじゃなくても、一日中トイレに行けない日もあります。そんな時、絶対にずれないから経血が漏れにくいショーツタイブのナプキンがあると、、、。使い捨てなので気分の面でも楽ですし。けっこういると思いますよ、私みたいな人。長距離トラックの女性ドライバーとか手術に立ち会うナースとかね、、、」。

ショーツタイプの使い捨てナプキン。実は、そろそろ更年期に入りかけていた影響なのか、半端ではない経血量に悩んでいた当時の私も、「あったらいいな」と、商品の実現化を望んでいた1人だった。
「同じ考えの人もいるんや、、、」。
嬉しくて、その日の報告書は面白いほどすらすらと書けたものだ。

果たして数年後。「ロリエがショーツになった」なる商品がK社から発売された。残念ながら薄型ではなかったけれど、アブナイ際の備えにはじゅうぶん。今なお、販売されているところから判断して、必要とする女性は多いのだろう。