売れる商品は売れるがゆえにますます売れる

前回、「人は人が集まるところに集まる」と書いた。
似た現象は、商品など、物にも起こる。
ズバリ、「売れる商品は売れるがゆえにますます売れる」のだ。
どうも消費者の意識構造の底に、「売れる商品=たくさんの人が求める商品=いい商品」の認識が刷り込まれているらしい。

それを受け、私たち販売者も、様々な演出をする。
実際はそれほどでもないのに、さも売れているように見せかけるのだ。
売場に置く商品数を入荷数の半分ほどにしたり、わざと不揃いに陳列したり。
さらに、下のような「今、売れています」と書かれたPOPを、商品や商品が並べられている棚の近くに貼ることもある。

「あ、あ、見たことあるで、これ! スーパーの日用品売場やアイディア商品コーナー、あと、ホームセンターのいろんなところにもよう貼ってるやん」
とおっしゃる方、いるのでは?
はい。その通りですよ。
主に、試食という名の証拠品(?)を提供出来ない商品、例えば洗剤とか文具とかペットフードなどを担当する時、使うテクの一つであります。 
試食のように具体的に味をみてもらうことが難しいぶん、視覚で消費者の潜在意識にアプローチをかけるのだ(ただ、ペットフードの場合は、「うちのカワイイ子にマズイもんを与えるわけにはいかない」と、実際にフードを口にするペットオーナーさん、いないわけではない)。

と、こういうカラクリを知った上で、今度お店に足を運んだ時は、ぜひこの「今、売れています」POPを探してみてね。
興味深い事実に気づくはずだ。
「今、売れています」。
そう、本当に、今売れているのだ。
見せかけが見せかけでなくなっている。

かくして、「売れる商品は売れるがゆえにますます売れる」ことをあらためて知らされる私たちは、日々、「売れている」演出に工夫を凝らすのである。

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