小売業界のパワハラ その3~弱い者もお客さんだよ!

さて、Aネタ、最終回である。

Aのような、自分より立場が上の者、例えば上司にはヘコヘコするくせに反対に立場が下の取引先とか部下には冷淡かつ横柄に振る舞う人間が、仕事は出来ると言えどなぜ組織の中で認められて高い地位を得るのか?
小売業は、職人の世界とは違い、一人でするものではない。むしろ大勢の人と協調しながら、それぞれのテリトリーのバランスを保ち合い、絶えずコミュニケーションを取り続けないと成り立たないはず(報・連・相ってヤツね)。つまり、部下をはじめとする周りの人の協力がないと、業務は前に進まないのだ。
この点で、取引先業者や部下に嫌われまくっているAは完全に失格だと思うのだが、、、。

「そら、結果が何にも増して重要視されるからやがな、小売に限らず、どんな業界でも。結果、結果よ」
仕事仲間の一人は語る。
「営業マンかて、たくさん契約を取ってきたら、得意先まわりの途中で何やっていようと、法律に触れるようなことでない限り優秀やと評価されるやろ。あれと同じ」
さらに、元ブティック店員だった娘さんの話をした。
「娘によると、あの世界にもエグいことやって人のお客さんを取り、販売成績をあげるのがおるらしい。で、現場を知らん本部の人間は、しょせん数字でしか店員を評価しない。この子は今月どれだけ服を売ってどれだけ会社に利益をもたらしたか。見るのはそこ、ズバリ結果だけ。だから、会社を儲けさすAが取引先や部下に評判が悪くても、それは取引先や部下の問題。会社は関係ないの」。
なるほどね。

ただ、個人的に痛感しているのだ。
人間は、基本的に、「やられたらやり返す」生き物であると。
人間ばかりではない。動物だってそうだ。何かの本に書いてあった。かつて牛が農作業の重要な担い手であった頃、牛でもあまりに酷使すると全身であらがってきたと。
ならばA。今は己の立場にふんぞり返っているが、この先どこかで報いが来ないか?

必ず来るだろうと、実は私たちは囁き合っている。
ある仲間は言った。
「もし、Aが家の近くの〇〇(Aが勤めるスーパーのチェーン名)の店長だか副店長だかになってやって来たら、ウチ、そこに買い物に行くの、きっぱりやめるで。それどころか、娘や嫁や近所の人に言いふらしたるワ。あのオッさん、お客さんの前ではニコニコしているけれど、裏ではこうなんやで、自分のために働いてくれている部下や取引先にこんなイケズ(意地悪)なことしてるんやでと。このテの噂話はすぐに伝わるさかいに、もしそうなったらダメージは大きいやろ」。

悪事は千里を走る。
自分より弱いスタンスにいる者をいたぶったツケを受けるようになって初めて反省し、後悔しても、遅いぞ!
取引先だって、デモンストレーターだって、パートタイマーだって、アルバイトだって、店を一歩出ればお客さんじゃ!
お前を儲けさせ、結果、お前の会社での評価を押し上げているお客さんじゃ!

もっとも、Aみたいなタイプの辞書には「反省」や「後悔」の二文字はないかも知れないね。