人間はいつも人間で苦しむが、同時にいつも人間を求める

怖い夢をみた。

ほとんど人気(ひとけ)のない山奥にある小スーパーで宣伝販売をすることになった私。
ようやく店にたどり着いたのに、出てきた従業員は、「うちの支店には、東店と西店がある。おねえさん(私のこと)が行かなくてはならないのは東店だが、あいにくここは西店だ」と言う。
東店へのルートを教えてもらい、向かったが、まわりは山の木だらけ。
ハイキングや山歩きをする人も皆無だから、標識も矢印もない。
うっそうとした細道をひとり歩いているうちに私の心は不安と恐怖に支配され始め、ついにパニック状態になる、、、という内容。
怖かった。本当に怖かった。

もっとも、実際にもこれと似た体験をしたことはある、、、八年か九年前、とある過疎地のスーパーを汁物のデモンストレーションで訪れた時に。

そこは、JR沿線の最寄駅よりバスで延々三十分あまり山道を登った村にあるのだけれど、バスが出発して店に着くまでに私が出会った「人間」は、バスの運転手ただ一人だった。

その代わり(?)、野生動物にはたくさん出会った。
サル、シカ、ウサギ。もしかすると、タヌキやリス、イタチなどもいたかも知れない。バスが走る先を、音に驚いてピョンピョン跳ね、道の両脇に逃げていくのだ。
あとは、朽ち果てた停留所の壁に張り付いていた、イモリだかヤモリだかが数匹。
正直、バスから降り、カートをコロコロ引きながら現場への道(道順はデモ前日に店に電話をかけ、聞いていた)を歩いていて、怖くなった。
誰もいない。
建物もない。
あるのは、山と田畑と道と草と天と地のみ。

それだけに、林を突っ切った先に自動販売機が見えてきた時はホッとしたものだ。
なぜなら、自動販売機があることは、イコールで人間がいることに結びつくからねえ。

現在は占い師をしている知人に聞いたことがある。
「(占いの)依頼の大半は、恋愛や家族、職場の同僚との付き合いなど、人間関係に関する問題で、自分はこれに対してこの先どうしたらよいか占って下さいと、こういうもの。ね、人間は、いつも、人間で苦しむのよ」。
真実!
同時に、人間は、いつも、人間を求めるのも真実だ。