クレームには優しさで返す~たやすいことではないが心に留めたい

一昨日の続き。

東京は歌舞伎町にある某ビジネスホテルの支配人に就任した三輪康子氏を待ち受けていたのは、予想通りのクレームの山。しかも、クレーマーは、いわゆる「普通の」宿泊客ばかりではない。暴力団関係者やホテルを寝ぐらに違法行為をしている、一癖も二癖もある人たち。
それでも、三輪氏は「クレームには優しさで返す」ことを信念とし、マネジメント業務に邁進したのである。

「クレームには優しさで返す」。まあ売り言葉に買い言葉でややこしいことになるケースはとても多いから理屈の上ではわかるんだけれど実行は難しいよなあ、、、と、感じている人、私も含めて多いのではないか。
総じてクレーマーは感情の塊となっていきり立っているもので、その凄まじい憤怒の念は、対座するこちらを怯えさせ、怯えさせるがゆえにクレーマーの憤怒が伝播し、「怒り」には「怒り」を持って応対する事態を迎えがち。
よって、三輪氏が実行してきて、また推奨もしているクレーム対応法、「まず謝罪し、次に聞き役に徹し(この時、本当に聞いているんだと証明するため、クレーマーの視線はしっかりと受け止める)クレーマーの怒りのトーンが落ちたところを見計らっていよいよ具体的なクレーム処理にとりかかる」を、一般の我々が現実に適用できるようになるには、一定期間のトレーニングが必要だと感じる。

三輪氏は語る。
「クレーマーは、実はうちにモヤモヤしたものをかかえている人が多い。その鬱憤を弱い立場にいる者に向けるのだ。だから、クレームには優しさで返す」。
なるほど。敢えて一歩引くことで、とりあえずは相手を受け容れるんだね。

この対応法を身につけると、仕事はもちろん、私生活も変わってくる気がしする。
我が身を省みてごらん。キツイ言葉を投げかけられたら、横柄に振る舞われたら、ええ加減な態度をとられたら、同じくキツイ言葉で、横柄な振る舞いで、ええ加減な態度で返していない? 基本的に人間はやられたらやり返す生き物だからだ。
結果、ますます互いにの関係にヒビが入る。

「クレームには優しさで返す」。
たやすいことではないが、常に心に留めておきたい。