販売員は目立ってはいけない~がんじがらめの発想

仮にAさんとしよう。
彼女は年の頃、30歳前後。大学を出て、日本人なら知らぬ者はいないであろう、某大手金融機関に就職。結婚までの数年間、事務職員として勤めた。
「仕事は予想していたよりはハードではなかったんですが、上司や先輩との人間関係が体育会系並みで、こちらは相当こたえましたね。例えば、昼休憩で外に出るために会社の廊下を歩く時も、先輩より前に出てはいけないんです」。
うわぁ。体育会系そのもの。
だとしたら、先輩が残業していたら、もしかして後輩は自分の仕事が終わっていても、先輩より先に帰ってはいけない?
「もちろん。いわゆる付き合い残業になるんでしょうかね。先輩の仕事をヘルプすべく、こちらも残ります。絶対に先輩を差し置いて帰ってはいけません。後でさんざん絞られる」。

ううむ。そりゃ、先輩を立てないといけないことはわかるけれど、後輩も人間だ。
それに、こういう事例が「常識」とされるのは、私の若い頃(今からおよそ40年前)で最終と想っていたんだが、まさか、世紀が変わって30年近く経った今なお生きているとは、、、。

もっとも、団体行動が苦手な人間=日本では協調性がないとされている人間(協調性がないことは、ここ日本では、最低の評価)の言い訳を許してもらえるなら、先輩と後輩が廊下で会って、どちらが前を歩くか、あるいは残業している先輩より先に帰ってはいけないなんて、、、そう大した問題ではないはずなのだが、ああ!
これこそ、「形式」じゃない?
仕事経験10年の先輩が、必ずしも「仕事経験10年」の実力があるわけではないし、したがって、相応の実績も示していないケースは、たくさんある。

周囲との調和や上下関係を何より重んじる日本人。
これは、大きな利点ではあるが、反面、、、。

「和」を強調し過ぎる発想が、先の「販売員は目立ってはいけないから、エプロンは黒と灰色と紺のみ。キャラクターエプロンなど、とんでもない」の発想につながるのでは?

こんながんじがらめ。
組織にとっても大きなマイナスだと、企業トップも早く気づいて欲しい。