お一人さま

以前にもお話ししたように、私は元祖鍵っ子。
共働きの両親と9歳年上の姉のもと、小学校低学年の頃から、放課後は一人で過ごしてきた。
幸い、まだまだ共同体思想が生きていた岡山の村落がその舞台だったため、「村人のAさんの子どもはAさんの子どもであると同時に村の子どもでもある」との考えが周りの人全体にあり、皆に見守られながら育っていくことが出来た。
とは言え、基本的には「一人」でいたことに変わりはない。
それと関係あるのかどうか。
少なくとも、小学校高学年の時には、私は立派に「一人が嫌ではない子」になっていた。
別に誰かといるのが苦痛ではないのだが、さりとて、一人でいても苦痛ではない。

この姿勢。以後、時に奇異に見られたのか、さまざまな逸話を生むことになる。
一つ、明かそう。
朝、バスの停留所から学校に向かっていたら、
「あんた、いつも一人ね」
と、心配してくれた教師がいた。
私は目をパチパチ。
ん?ん?と。
ただ、彼女は本当に細かいことにも気がつく優しい人だったので、悪意で口にしたのではないことはわかったけれど。
ただ、当時から確信出来た。
私が男の子だったら、こんなことは言われなかっただろうと。
いったい、どれだけの男の子がバス停留所から団体でゾロゾロと学校に向かっていると言うのか。

女子の一人行動。
かくも奇異にとらわれた時代があった。
それを引きずっている最終の世代が、私たちアラカン及びひとまわりほど年下の世代なんだろう。

世紀が変わった現在。女性のお一人さま行動は、別に特別なことでも何でもない。
一人カフェ。一人居酒屋。一人バー。一人映画。一人ドライブ。一人ハイキング。
悪くないことだね。

一般に、男性より長く生きる女性。
身近なところから、少しずつ、お一人様行動に慣れましょう!