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遠い昔にアルバイトで勤めたスーパー。仲間のチェッカー、Kちゃんは、そこの看板娘だった。なにせ、彼女に会うことが目的で来店する人も少なくなかったくらいだから。

Kちゃん。実に愛想がいい。ニコッと笑うと、もともと大きくはない目が滝水のようになり、左右に流れる。目とは対照的にガマ口も真っ青の口は耳元まで裂け、真珠の歯と共にピンクの歯茎がのぞく。
決して美形ではないのに、どこか愛嬌があり、こちらもつられて笑ってしまう。
そんな子だった。

それに加え、親切で、気がきく。
例えば、少しのあいだ店に来なかったお客さんが久々に顔を出し、買い物をして、Kちゃんがいるレジに並ぶ。
勘定を終えたKちゃんは、お客さんに声をかける。
「お客さん、しばらくですねえ。風邪でもひいてはったんですか? いえ、ここのところお見受けしなかったんで、どうしてはるんやろうと思うてましてん」。
このセリフ、お客さんには感動ものよ。
「ただの買い物客の私をこの子は覚えていて、気にかけてくれてるんや」
と。

この話を、友人の一人にしたら、
「今年定年退職して母親代わりに家のことをしているうちの父親も、近所のスーパーにお気に入りのチェッカーがいて、その子目当てで毎日そこへ通うとるわ。ま、父の場合はその子が好みのタイプだという、おっさんのスケベ心からなんやけどね、、、」

何はともあれ、店側にとっては嬉しいこと。お客さんファンの従業員のおかげで店の雰囲気も評判もよくなり、客数はもちろん売上アップにもつながるのだから。
これは、表に出るチェッカーのみならず裏方の従業員にも言える。
「お姉さん(お兄さん)、あんたがこの前すすめてくれた惣菜(魚、肉、野菜その他)、美味しかったで。ありがとう。また買うわ」。
お客さんにこう言ってもらったら嬉しいよね。
これも、お客さんの生活にダイレクトに接することが出来る小売業ならでは。

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