小売業でスターになるには、「大衆食堂のオネエサン」のセンスが必要。

リン・アンダーソンと言うカントリーシンガーがいた。日本では1970年にヒットした「ローズ・ガーデン」でしか知られていないが、本国アメリカではどうして。大スターだった。

一説によれば、カントリーミュージックアメリカ白人層における演歌みたいな位置付けなんだそうな。とすれば、リンは日本に例えたら八代亜紀みたいな存在か。
なるほど、ロングヘアを肩から背中に垂らし、ちょっと蓮っ葉(はすっぱ)な笑を浮かべながら、「下品」とギリギリで隣り合わせの仰々しいドレス姿で歌い上げる様には、共通のものがある。
イメージ的には、田舎町、せいぜい地方都市にあるスナックの売れっ子娘。

さて。
「小売業の皆さん、自分のファンを作りませんか?」の議題の続編の冒頭に、何故いきなり日米の大歌手の話題を持ってきたか?
それは、この二人が持つ雰囲気(繰り返す。「田舎町、せいぜい地方都市にあるスナックの売れっ子娘)から、色っぽさとあだっぽさを抜いた姿にこそ、小売業界で売れっ子になる基本的な資質を見ると私自身は思っているからだ。

一言で述べるなら、大衆食堂のオネエサンね。
ほら、土ぼこりがうず高く舞う道路沿いや隅から隅まで潮と魚の匂いが染みついている港町なんかによくあるでしょ、安くてボリュームがあって、でも、美味しくて、不思議に栄養バランスも結構とれている定食や麺類や丼や一品ものを提供している庶民的な食堂。
ああいう店の「看板娘」なり「看板おかみ」。

「いらっしゃーい」のお出迎えの声からして鳥のさえずりのごとく店内に響き、アハハでもガハハでも喉奥が見えるくらいに心より笑い、時にキワドイお話を振ってくるおっさん客には否定も肯定もしないで「フフフ」と受け流す。
見た目も立ち居振る舞いも洗練されてはいない。そのぶん声をかけやすい。
「こんな私でもちゃんと相手してくれそう」
こう感じさせてくれる親近感がある。
業種や店舗規模にもよるが、一般に小売業界でスターになっている人は、この「大衆食堂のオネエサン」のセンスを必ず持っているはずだ。

「大衆食堂のオネエサン」のセンス。あなたも磨いて、ファンを作り、店のスターを目指しませんか?