犠牲と涙のうえに成り立つ低価格商品

昨年か一昨年だったか。もやし栽培農家のこんな悲痛な声が話題となった。
「節約食材の代表のように考えられているもやし。最近、流通業界からの安売り要請が、一段ときつくなった。中にはもやし1袋19円で売っている店もある。ここまで買い叩かれては、われわれ生産者は生活出来ない。せめて40円で売って」。

この訴えが効をなしたのかどうか、それからしばらくの間、もやしの価格は、少なくとも「超」がつくほどの安値ではなかった。
が、時が過ぎれば、またも同じ。
もやしの超過ぎる特売が復活した。
もやし栽培農家の苦境は全く改善されていない。

また、以前に果汁飲料のデモのために訪れた激安スーパーの社員たちは疲れ切っていた。
「私、ここ1ヶ月、1日も休んでへんねん」
昼食時、社内休憩所で向かい合わせに座ったその店のチェッカーチーフも言った。
「人が足りなくて。会社は社員を最低限しか雇えへんし、パートやアルバイトが働く日も制限している。たまった仕事は、社員がサービス残業して現場をまわしている。そうやって人件費を浮かしているから、商品を安く提供しても会社はやっていけるんや」。

何とも悲痛な話。

消費者にすれば、ものの値段が安いことは、そりゃ嬉しい。
とは言え、極端な低価格は、その裏で泣いている人たちがいるのも事実。
誰かの涙の上に成り立っている低価格商品なんて、ぶちまけた話、どう思いますか?