コロナ禍に苦しむ今、「芸」の力を考えたい。

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「長生きも芸のうち」(岡本文弥。インタビュアー 森まゆみ)。


1996年に101歳の長寿を全うした、新内節(しんないぶし)太夫岡本文弥が、歩んできた軌跡や芸、人生観、樋口一葉その他の文化人との交流を語る。
明解な返答を引き出す、森まゆみのインタビュアーとしての手腕もお見事。


新内節浄瑠璃の1派。主に流しの形式で、三味線の調べと共に男女の悲恋ものや下層に生きる女の人生を歌いあげ、特に花街で興隆を極めた。


文弥は言う。
「いま生きている以上は、いまの人の苦しみ悲しみ、政治にも税金にも福祉にも一応は関心を持って、そこに迫るものをつくるのは芸人の責任だと思います」。


この言葉、実に重い。
芸人も社会を構成するパーツの1つであるからには、おのずとそこに芸人ならではの責務が生じるのだ。
長引くコロナ禍に多くの人が苦しんでいる今こそ、音楽や舞踏や美術や演劇など「芸」の力を考えたい。