邦題「マルタの鷹」(原作 ダシール・ハメット、翻訳 小鷹信光)
再々読。41年前の初回時、27年前の2回目時、そして今回と、取り巻く環境の変化や、そのことないし重ねる年齢によるモノの考え方の推移はあれど、登場人物の心理描写を省いた、行動とセリフのみの客観描写でストーリーを進めていく手法への爽快感は、今も昔も等しく感じた。
こんな書き方もあるのだね!
(あらすじ)
私立探偵サム・スペードのもとに、ミス・ワンダリー(後にそれは仮名で実名はオショーネシーだとわかる)から、サースビーという男と駆け落ちした妹を連れ戻して欲しいとの依頼が入り、スペードは事務所の相棒アーチャーにサースビーを尾行させる。
ところが、その夜、2人とも死体となって発見され、アーチャーの妻と不倫をしていたスペードは警察に疑いの目をかけられてしまう。
そうこうしているうちに、コトは意外な方向へ。
12世紀発祥のマルタ騎士団にゆかりを持ちスペイン王への貢物として作られた全身これ宝石の鷹、「マルタの鷹」をめぐる争いに、スペードは巻き込まれてしまったのだ、、、。
金は人を変えることがある。いつの世にも、人や国が争う大半はカネ絡み。それだけに
「男ってのは、相棒が殺されたら、放ってはおけないものなんだ」
とのスペードのセリフは、心に沁みる。
なお、「マルタの鷹」にはたくさんの翻訳がある(私も初回は小鷹氏以外の訳で読んだと思う)ように、映画化も3回。
もっとも知られているのは、ボギーことハンフリー・ボガードがスペード役を演じたもので、こちらもぜひ観てみたい。
プラス、4度目の映画化を望む。
鷹の像に宝石だけでなく、歴史的な捏造や国家機密などの事項も盛り込まれていたら、今風な面白さとなるかもね。