バジルソース

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123日の土曜日は、万代高槻大塚店で、
キューピー社のバジルソースのデモ。
メニューは、色合いが「赤・緑・白」のイタリア国旗を連想させることでも知られる、カプレーゼ。
モッツァレラチーズとトマトを使って作る。

ぶちまけたところ、ややクセのある味だし、
一般にはトマトソースやタルタルソースほどには知られていないので、
動きが鈍いであろうことはある程度まで覚悟していたが、
あれほどとは思わなかったね。
試食はよく出るのだけれど、風味の評価は真っ二つ。

もっとも、売れ行きがよくない一番の理由は味や香りではない。
「バジルソースって、何に使うん?」
これだ。

「スパゲティや、
そのパルカなんちゃらと名前がついている刺身をサラダにしたのや、
白身魚を炒めたのとかにエエ言うたかて、
ウチはそんなしゃれたもん、作らへん。
買うたかて、戸棚の隅に眠るだけやがな」  

うーむ?
まあ、しかし、高年のお客さんには珍しいケースではないだろうな。
スパゲティと言ったらわかっても
パスタと言ったら首をかしげる方もいるから。

それでも、そうおっしゃる方も、
バジルがハーブの一種で、
消化促進をはじめ、殺菌や鎮静作用など、
様々な効能があることは
ご存知なのだ。
世をあげての健康ブームのおかげである。

「身体にいいことは知られている。
だったら、イタリアンじゃなく手軽にありあわせのもので出来る
レシピを紹介してあげたら、買ってくれる可能性アリね」

こう判断するや、昼の休憩が始まると同時に、iPhoneからYahooにアクセス。
バジルを使った料理をアップしているサイトを複数のぞき、
情報を引っ張り出した。

効果はてきめん。
雨天でお客様数は減ったのに、商品はポンポンとリズミカルに出て行った。

売れ始めると、販売するこちらにも気持のゆとりが生まれる。

ふと、最近読んだエッセイ「ジーノの家」(内田洋子著)に書かれていた、
あるくだりを思い出した。


イタリア生活が長い著者。
ある年、ジーノと言う元教師が所有する家を借りることとなった。
ジーノの両親は、イタリア最南部の貧村で食い詰め、
まだ赤ん坊だったジーノをつれ、北部の町、インペリアにやってきた。
五十年以上も前の話だ。
インペリアで、両親はオリーブ畑で働く仕事を得た。
掘立小屋のような家に住む一家の食事は、来る日も来る日も、
家の横に植えたバジリコを潰して作ったソースと
拾ってきた松の実を混ぜたパスタだけ。
それでも、ロバよりも働く両親に地主は感心し、
幾つかの土地を任せてくれるようになった……


「バジリコを潰して作ったソースと拾ってきた松の実を混ぜたパスタ」。
日本にもってきたら、かけそばかかけうどん?
イタリアの人にとってバジルとは日本人のネギ
みたいな存在なのだろう。

こう考えると、舌を噛みそうな異国料理も、
親しみを感じてくるね。