品だし

 試食販売の仕事でも、パンや牛乳、卵などは、かなりの確率で
「品だしもお願いね」
 と、店舗側に要求される。
 極端な話、そちらがメインになるケースも。

 イセ食品の「森のe卵」。先月訪れた兵庫県の店では、たまたまパートさんがたくさんおられた
日だったこともあり、こちらが品だししようとすると
「いいですよ。あなたは販売に専念していて下さい」
 と言ってくれたが、昨日の店はそうではなかった。
 人件費節約のため、パート人員も減らしているのだろう。部外者がはたから見ていてもギリギリ
の人数で業務をこなしていた。
 こんな店ではこちらが率先して品だしをしないとね。

 中学時代に背骨が曲がる病気を患い、腰痛と膝痛持ちの私には、品だしはこたえる作業だ。
 昨日も腰が痛くなり、帰路で、京都駅の階段をグリル鍋をはじめとする調理用具一式が入った
カートを持って降りていたら、一段とギシッときた。
 気をつけにゃ。

 マネキンって、誰でもなれる割にはギャラがいいんだけれど、体力的にはけっこうハード。
 売上も暗黙のうちに要求されるから、精神的にも辛い時がある。

 とは言え、それは、他の仕事でも同じ。
 自由業とされる作家やミュージシャンとて、変わらない。
 浅田次郎も、雑誌のインタビューで
「作家になるのは体力がないとダメ。僕は、昔自衛隊にいたから、そこいらは平気」
 と語っていた。
 ミュージシャンも、デビュー時は過密なスケジュールをこなし、それでもヒットに結びつかな
かったら、レコード会社に契約を打ち切られてしまう。
 厳しいのだ。
 活字離れで本の売れ行きが鈍り、ネットの音楽配信などのあおりでCDもなかなか売れない昨今、
大変さは増しているだろう。

 どんな仕事でも、楽ではない。
 先行きが不安な点もいっしょ。

 目の前の仕事を一つ一つ大切にしていこう。