デモンストレーターの高齢化

先だっての記事で、バスドライバーなど運輸業界の人手不足と我がデモンストレーター業界の人手不足は高い確率で共通点があると書いた。


その1つが、ズバリ、現場に携わる者の高齢化。


その前に、デモンストレーターがどんなに人が足りないか、あくまで私の例ではあるが、端的に述べよう。


四捨五入したら70歳の婆さん(私)。なのに、ほぼ毎日仕事依頼が来て、時には1日に5件くらい打診されることがある。

これは、デモンストレーター派遣会社4社を掛け持ちしている関係もあるのかも知れないと思いきや、今日日のデモンストレーターはほとんどが数社に登録=掛け持ちしているから、他の仕事仲間も同じだわなあ。


こうなった大きな原因は、コロナ禍のもと試食販売がなくなり、年齢的にまだまだ転職出来る可能性が高い40代50代のデモンストレーターが別の仕事に就いてしまい、コロナが明けて試食販売が復活した後も元のデモンストレーター界に戻って来ないからなんだよね。


そういう人は言う。
「何かあったら仕事がなくなり、そのことに対して何の保証もないデモンストレーターなんて、やってられへん」(雇用形態が業務委託になっているデモンストレーターはその限りではない。実質的にはフリーランサー=自営業なので、今回の疫禍では保証の対象となった。1番気の毒だったのは、同じフリーランサーでありながら雇用形態が給与所得の人たち)。


確かに。ただ、私も含めた還暦以降のデモンストレーターは、諸般の理由もあって簡単には別の仕事に移ることが難しかったため、好むと好まざるをかかわらずデモンストレーター業界にとどまらずを得なかった。結果、デモンストレーターの年齢が全般に高くなったのだ。


コロナ後に今度はメーカーから次々と来る業務依頼。仕事にあぶれていた私たち高齢デモンストレーターは嬉しい反面、それらにひとつひとつこたえていたら体力がついていけない年齢になった。


ところで、ここでメーカーと私たちの橋渡しをするエージェンシーや派遣会社は考えないといけないのではないか。
「比較的に若いデモンストレーターがまたやろうという気にならないのはなぜなのか」
と。


ぶっちゃけ。人手不足解消の意味合いもあり、デモンストレーターのギャラはコロナ前より上がり、付随する条件もよくなった。
にもかかわらず、相変わらず求人募集に応募してくるのは、デモンストレーター経験のある、比較的に高年、せいぜい年配の人が大半。
つまり、若い人を惹きつける魅力がないことにもっと危機感を抱かねばならないのに、当座の対応策として、デモンストレーターが足りなかったら単に募集したらいいと考えているエージェンシーや派遣会社が少なくない。


デモンストレーター業界最大の問題、いや、他の運輸でも介護でも流通でも、いま人手不足にあえいでいる業界の最大の問題は、これだね。