かぐや姫伝説で知られる向日町での仕事から帰ってきた。
今日の担当は納豆。メニューはトマト納豆。
何の! みじん切りしたトマトと納豆を混ぜ、パセリを散らすだけ。
私的には美味と感じたのだが、お客様の評価はまっぷたつに別れた。
「思ったよりいけるね」
「さわやか」
「ジューシーですっと身体に入る」
「納豆とトマトって合うんやね」
以上はプラス評価。
以下、マイナス評価に入る。
「こんなん、ご飯のおかずになれへん」(すごく多い)
「酸味が苦手」
「水っぽい」
何より多かったのが
「トマトの味で、せっかくの美味しいタレの味がわからんようになる」
無理もない。
担当した納豆は、梅風味。
爽やかな梅味ならではのタレを味わってもらってこそ、商品の特徴も明確にな
るし、販売に結びつく商品だったのだ。
なのに、トマトなんぞ加えたりしたら、確かにタレ本来の味がわからなくなる。
このメニューを試食用に採用した人、いったいどういう意図のもとかしら?
少しでも凝ったメニューを提案することが販売に結びつくと考えているのなら、
大いなる錯覚である……ちょうど、めかぶと白菜の漬け物のあえものをデモメニューに選んだ人のように。
まあ、だいたい、想像がつく。
凝ったメニューこそと信じ、指示した人は、調理にそこそこ自信がある男性で
あろう。
彼らにとって、料理は趣味であり、遊び。日常的に台所に立つ主婦の気持ちが
わかろうはずもない。
主婦は、短時間で、手間がかからず、安価で、かつ栄養バランスもすぐれたメニューを望んでいる。そういう一品を作るためには、素材自体の味を知ることが
重要となってくる。
料理はシンプルに。
これは、手抜きでは、決してない。