小さな傷

さあ、年賀状の残りを本当に書いてしまおう!

 昨日、一日現場に立ったせい? 左足の擦り傷が昨日の夕方からまた痛み出した。
 確かに治ってはきている。腫れもかなりひいている。
 それなのに、新たな膿が出ている。
 これは何ぞや?
 この白い粘性の膜は?

 三連休で病院は開いていない。
 ひどくなるようなら、火曜日に診てもらうしかない。

 こういう小さな傷は、実はなかなか治らない。
 八年ほど前に左手の親指を切った時も、完治に二ヶ月ほどかかった。

 人間関係もそうかも知れない。
 身近な、取り立ててどうということもないズレから生じた軋轢ほど、しつこく長引いたりする。

 暮れにいろいろな店をまわっていて感じた。
「店の従業員同士ももめることが多くなってきているなあ」


「ええっ、今年は年末年始手当てが出ないんですか?」
せやねん。会社の方針で」
「やのに、私、シフトに入れられるんですか?」
「すまん。人がいなくて」
「そんな! 私、ずっと子どもの学校の行事に出るのもやめて仕事を優先していますやん。特別
手当てが出るならともかく」
「そうですよ、主任。Aさんの気持ち、私らかてわかります」
「みんなの言いたいことはわかる。でも、ほんまに人がおれへんねん」


「ねえ、まだ新しい人は入ってけえへんの?」
「何度募集を打っても条件に合う人が見つかれへんて」
「鮮魚やから? そんなん、入ってもろうて教えたらよろしいやん」
「鮮魚の主任にしても副主任にしても、そんなゆとりはないよ。カツカツの人員でやっている
んやら」
「わりますよ。わかりますけれど、私、いつになったら休めるんですか? このところ連続。
時期が時期やから家のこともせんならんのに」


「Cさんにちゃんと言わな。自分の都合を優先して急に休まれたら困ると」
「でも、子どもの病気って言われたらなあ」
「そんなん、パートに出る時からある程度は覚悟せな。幼児じゃあるまいし、小学校四年生な
ら、薬くらい自分で飲めるやろ。パートでも仕事は仕事やん。あの人が休んで仕事が増えたぶ
ん、あんたらが残業したりシフトに出てこなあかんのやろ?」


「Dさんって、毎年さっさと年末年始を全部休みに入れるね」
「ほんま。パートの数が減った今年も早々に届けを出している」
「私らは出てきてくるのに。何で、あの人だけ主任も認めるん?」
「この店が出来た時から勤めているさかい、主任もよう言えへんねん。怖くて」
「勤務歴が長いいうたかて、やっていることは私らと一緒やんか。平等にせな納得出来へんわ」

大手スーパーから個人経営に近い地域密着型スーパーも、従業員のぼやきの内容は同じだ。