年末の仕事

昨日、年末の買い物に西友山科店に出かけたら、試食販売のおねえさんがきて、ドレッシングのデモをしているのに出くわした。

 数年前まで、私も年末年始に関係なく、ああして現場に立って声を張り上げていたものだ。
 十二月十五日から一月四日まで連続二十日間、という年もあった。
 さすがに腰に負担がかかり、立っているのも辛くなったが、気力で乗り切った。
 娘の学費を稼がにゃならん事情があったからねえ。

「年始はともかく、慌ただしい年末に試食販売をしても、お客さんが買うものは決まっているから、売れないでしょ? いったい何を担当するの?」
 とお尋ねになるあなた。
 確かにその通り。
 でも、店側にとっては、正直、売上は二の次。
 ぶちまけてしまうけれど、生鮮などは新年に商品を持ち越すのはなるべく避けたいので、「試食」という形で「消費」してもらいたいのだ。
 いきおい
「試食はもっと多く盛れ。もっと食べさせろ」
 となる。

 数年前に担当した、某大手ハム会社の宣伝販売。
 滋賀県中部のその店に着くなり、部門責任者に
「このウィンナー、ぜーんぶ今日中にさばいてな」
 と言われた。
「半分か、それでもあまるようなら丸ごと一本試食に出してくれてエエ。売れへんかてかめへん。パカパカ食べさしてや」

 結果、ウィンナーを焼いて焼いて焼きまくった。
 売上は気にしなくてよいのだから、楽なものだ。

 この意味で、年末の仕事は、楽は楽。
 しかも、年末手当てがつく(年始手当てもある)。
 先輩マネキンの中には
「一人暮らしやさかい、家におっても、退屈なだけでなあ。仕事をしている方がよほど楽しい。金も
いつもよりたくさんもらえるし」
 と、敢えて年末を仕事でびっしり埋める人もいる。

 ものは考えようね。
 もっとも、現在のところ、私はやはり年末は休みたい。