歯のお話


どうしたことだろう。明日は土曜日なのに、登録している派遣会社のどこからも仕事が入ってきていない。
「(仕事が)ないわけではないんですが、年齢制限とか、その業務を以前にしたことがある人とか、そういうのがありまして、、、」
と、ある派遣会社の人事担当者。
ああ、そういうことなのね。

幸い、あくせくしなくてもよい状況になったので、その日は他のことをしよう。
住んでいる町の史跡巡りをしてもいい。
友人が経営するギャラリーを訪ねるのもいい。
友人のボランティアをヘルプするため、大阪まで足を伸ばしても
いい。
あ、美容の方がご無沙汰しているから、そちらに行こうか。
最近、心労でニキビがまた出来、髪に艶もなくなって、困っているから。

デンタルケアを念入りにするのも、悪くない。
実は、四月はじめに滋賀県は大津の百貨店でふりかけの宣伝販売を担当している時、とつじょ左上の奥歯が痛み出した。
自慢するわけではないが、私は子どもの頃から歯だけは丈夫で、いつも学校の歯科検診でお医者さんにほめられていた。歯科医にかかった回数も、57年生きてきて、数えられる。7歳の時に二回、22歳の時に一回、29歳の時に五、六回、30歳の時に四、五回、49歳の時に五、六回。いずれもごく初期か軽度の虫歯だった。
だから、今回もそう大したことはないだろうとタカをくっていたのだけれど、、、。

「奥さん、まだ歯は治らへんのですか?」
先日、我が家の近所の奥さんが、通っている歯医者に出かけようとしている私に声をかけてきた。
「痛い言うてはったのは、確か、四月に入ってまもなくでしたよ
ねえ?」
「はい。左上の奥歯が歯周病になりかかっていまして。それは、三回で痛くなくなったんですが、他にも小さな虫歯やばい菌が入り込んでいる歯があるから、一つ一つ治していきましょうと、先生に言われまして」
「それって、ホンマですかねえ?」
と、とたんに奥さんはこちらの方に身を乗り出してきた。
「うまく引っ張られてるんとちゃいます? 今日日、コンビニよりも歯医者の数が多い言いますやんか。患者の取り合いで、どこも儲けが減っている。だから、なるべく一人の患者からたくさん(治療費を)とろうとする。こっちが素人でよくわからないのをいいことに、しなくてもいい治療をしていることがあるかも知れませんよ。私も、あれっと
思ったことがあります、、、。痛いのがおさまったら、エエ加減、こちらから行くのをやめないと、、、」

ううむ。どうなんだろう?
仕事がら歯は大切なので、少しくらいお金を使ってもいいとは感じている。
それでも、奥さんの話にも、一理あるわなあ。
今回、歯を完璧に治したところで、数年後には再びほころびが出てくるのだから。
キリがないのだ。

まあ、年齢的に、歯は今後は劣化する一方だろうから、いたわり過ぎるくらいでいいかも知れないね。