「迷ったら勇気を持って引き返す」の真意

山で迷ったら勇気を持って来た道を引き返す。これが山登りの正統ルールというか、王道であると、前回の投稿で書いた。
詳細にはどういうことなのか?
説明していこう。

山中で進むべき道を見失ってしまった時、登山初心者が取りやすい行動が下へ下へと降りること。
山は高いものだから降りていればいつかは麓に出るはずと
思うからそうするのだし、いっけん理にかなっているようだが、どっこい。山は決してそんな単純なものではない。

降りて行った先に崖や滝があったとか、また登らなければならなかったとか。
不安にかられ、息を切らし、時に蹴躓き、お尻ごと滑り、、、やっとやっと降りたのに、これなのだ。
この時点で既に体力は消耗しきっている。
そこへ、大いなる精神面でのダウン。
もう何をする気にも考える気にもなれない、、、。

勇気を持って来た道を引き返す。この正統ルール。実は山登りに慣れていてもなかなか出来ない人が多いと聞く。
なぜか。
ズバリ億劫だし、また、それまでの自分の行為(目的地を目指して登ってきたこと)も無駄にしたくないからである。
「ここまで頑張って登ってきたのだもの。今さら引き返すなんて」
と。
だから、引き返すことは「勇気」を必要とするのだ。

このことは、しかし、事業や仕事にも共通しない?
いや自分の努力が足りないのだ、いやもう少し粘るべきなのだ、いやそのうち何とか道が開ける、、、など、悪戦苦闘しているうちに行き着くところまで行き、悲惨そのものの現状を前に、「あの時、こうしていれば、、、」と後悔。
「前進」と同じくらい、否、それ以上に「後退」は決断と実行力を伴うんものなあ。

それでも、敢えて思う。
物事に行き詰まった時、勇気を持って引き返すまではいかなくても、勇気を持って立ち止まる。
これは、比較的に心の葛藤なしに出来るはずだし、しばしば最悪の事態を回避することも出来るはずだと。

勇気とは、前に進むことばかりではない。