女性ホルモン対応の美容ゼリーに思う~購入後の自分をイメージしやすい商品としにくい商品

昨日は京都府内のドラッグストアで、美容ゼリーのデモを実施。
加齢と共に低下する女性ホルモン。そこからくるさまざまな困った症状に対応するゼリーである。

一般に女性ホルモンは40歳前後から減っていく。それに伴い、骨密度が弱くなり、皮膚の張りが失われたり弛み(たるみ)があらわれたりシワが出来たりと、「トシとったサイン」が、身体のあちらこちらにあらわれる。
それらをセーブするためには、ホルモン減少分をナニカで補給してやらねばならない、、、と、まあ、このような背景から生まれたゼリー。
当然、お肌に良いとされるコラーゲンもたっぷりと配合され、特に女性に不可欠とされるカルシウムも含まれている。

この、女性にとっては嬉しい成分が一つのパウチに入った、化粧品で例えたら「オール・イン・ワン」のゼリー。売れないんだな。
少なくとも、庶民相手の町のドラッグストアでは。

そもそも、「いくつになってもキレイでいたい」と、こういう系統の商品に興味を示すお客様は、自分自身への美意識も高い方々である。
そんな方々が、平凡な町のドラッグストアにどれくら足を運ぶのか?

もっとも、売上不振の最大の理由は、それではない。
「そのゼリーを食べた後の自分」のイメージが明確に描けない点にある。
ここいら、10年近く前、お腹の不調(主に便秘)に悩む人を対象に開発、販売された「〇〇納豆」のケースと似ている。

あの納豆も腸に特に働きかける納豆菌を使った納豆。理論上は便秘に効果があるはずだった。
ところが、便秘は生活習慣病。食べ物だけでなく、他の諸々の生活環境や心身のストレスや持って生まれた体質などとも密接に関連して発症する。だから、単に「乳酸菌をたくさん取ったから」「繊維質のものをたくさん食べたから」では解消しないし、根本的な症状改善には時間がかかる。
となれば、その納豆もしばらくは食べ続けなければならないのだけれど、そうするにはオカネがかかりすぎる。
そういうことだ。

今回の美容ゼリーもそれ。
疲労がたまった時に飲む栄養ドリンクなら、飲んだ後の「疲れから解放された自分」を容易にイメージできる。
貧血気味の時や生理中によく飲まれる鉄分ドリンクも、それを飲んで鉄分を補給し、「困った症状がおさまった自分」をイメージ出来る。
女性ホルモン対応の美容ゼリーは違う。
一度や二度これを食べたからと言って、肌の張りや弛み(たるみ)がましになるわけではない。すなわち「このゼリーを食べて変わった自分」をイメージしづらいのだ。
確かに毎日食べていれば変わってくるのだろうが、、、それには、値段が高過ぎるんだよなあ、このゼリー。

このような、「商品を購入した後の自分の変化」をイメージすることが難しい商品は、売れないと思う。

逆に言えば、お客様が商品を買った後のイメージをふくらませてあげられるトークが出来る販売員や営業マンは、優秀なのだね。