試食はおそろしく数が出るのに個性が強い味と使用範囲の狭さがネックとなって売上が低迷していた、キャラメル味のスプレッド。
厳しい状況を打開することが出来たのは、昼休み中に愚痴を聞いてもらった同業者の次のようなアドバイスだった。
「甘い系のスプレッドって、適度な塩気と合わせると美味しいねん。反面、甘いもの大大大好き人間は、例えばピーナッツバターとイチゴジャムのような、強烈な甘さを好む」。
この言葉にピンときた。
「なあるほど。そう言えば、アメリカのあの人もパンにピーナッツバターを塗った上にさらに甘いジャムを塗ったり、かと思えばピーナッツバターの上にベーコンを乗せて食べていたりしたなあ、、、。おっと! これは使えるぞ!」。
ピーナッツ味もキャラメル味も、濃厚な甘さがあり、香りも強い。
共通点があるのだ。
ピーナッツバターのレシピはキャラメル味のスプレッドにも使える! 絶対に使える!
私は確信した。
ここで、「アメリカのあの人」について説明。
彼はかれこれ30年前に交流があった、アメリカは西海岸にある某都市出身の留学生である。
大半のアメリカ人がそうであるように、彼もピーナッツバターが大好き。上に述べた食べ方の他にも、バナナスライスを加えたり、ベーコンをハムに変えたり、焼き芋にからめたりと、いろいろな方法でピーナッツバターを食べていたものだ、、、「僕はピーナッツバターがあれば幸せなのだ」と、目を細めながら。
どうやら、彼にとってピーナッツバターは、おふくろの味みたいなものらしい。
「そんなに美味しいのなら、私たちにも振舞ってよ」と、私も数人の友人たちと一緒に食べさせてもらったところ、イケる!
特に塩分があるベーコンとの組み合わせは絶妙だった。
ベーコンに合うのなら、ハムは言うに及ばず、ソーセージや生ハムともマッチするはず。
となれば、スイーツからやや範囲を広げてスナックとしてもメニューを提案出来るね。
また焼き芋にからめて美味しいのなら、お餅に乗せても美味しいこと間違いなし。
ノリで巻けば、ピーナッツバター磯辺餅になる。
スイーツはスイーツでも和風スイーツにも使えるとなったら、高年のお客さんにも薦めやすいね。
「ピーナッツバターの使い方をキャラメル味のスプレッドでも紹介」。
あらためて気をとり直し、試食されるお客様の1人1人に商品の特長やキャラメル味のスプレッドを使ったメニューを説明していった、、、コツコツ、コツコツと。
この試みは当たった。
それまで超低飛行だった売上を持ち直すことが出来、無事に業務を終了出来たのだ。
商品が売れない時でも、決してくさってはいけない。
そんな時こそ、冷静になり、今一度デモンストレーションの基本に立ち返る。
プラス、特に大型店では、この道何十年のベテランデモンストレーターも仕事に来ていることがある。
そんな人に愚痴を聞いてもらうのも悪くないよ。
ベテランならではのアドバイスや売上低迷から抜け出すヒントをくれることもあるから。
写真は、さつまいも(鳴門金時)。
ふかして、ピーナッツバターやキャラメル味のスプレッド、またはチョコレートクリームをからませたら、和洋折衷の見た目もおしゃれなスイーツに変身ね。