瀬戸内寂聴を偲ぶ。

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(注)11月17日に書いた記事。

 

瀬戸内寂聴(写真はWikipediaから)が手がけた小説も伝記物もエッセイも対談集も古典の現代語訳(「源氏物語」)も、ずいぶんと読んだ。
ぶっちゃけ、伝記物やエッセイや古典の現代語訳はとても面白かったが、こと小説に関する限り、ついに好きになれなかったなあ、、、主要登場人物の多くに感情移入することが出来なくて。
それでも、ついページをめくって先に進ませ、最後まで読ませてしまうのはプロの筆力ね。


友人の1人がこの方の説法教室に参加したことがある。
「とにかくお話がうまい。エッセイに、私は愛想がいいので仮に八百屋のおかみさんになってもうまくやっただろう、と書いていたけれど、その通りだと思った」。
なるほど。きっと、言葉の才能とセンスがものすごくおありなのだと想像する。


まあ、若かりしころ夫の教え子と恋に落ち夫と子どもを捨てて駆け落ちしたこととか、離婚成立後も家庭を持つ男性たちと不適切な関係を重ねたこととか、出家後も豪快に焼肉を食べながら真昼間から酒を飲んでいたこととか、破天荒な生き様そのものが創作。彼女は、机の上ではもちろん実生活でもカラダを張って小説を書いていたのだ。


ご冥福を心よりお祈りいたします。行いやら性格やら人間性やらはさておき、例えば、岡本かの子にしろ田村俊子にしろ、寂聴氏がその伝記を書いてくれなかったら我々にこれほど知られることはなかったはずで、このことだけでも後世に大きな遺産を残してくれた。