六条御息所の恋

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先ごろ急逝した八代亜紀のラスト盤「想い出通り」(5曲入りのマキシシングル。実質ミニアルバム)に、「六条御息所の恋」という歌がおさめられている。タイトル通り、源氏物語の主人公である光源氏の恋人の1人であった六条御息所の源氏に対する狂おしくも切ない思いを、八代亜紀ならではのハスキーボイスで情緒ゆたかに歌い上げたものである。


超絶イケメンにして、和歌や書や音楽などに秀で、さらに万人に好かれるキャラをも備えた光源氏は、当然ながら女性にもモテモテ。結果、女性遍歴を繰り返すこととなる。


この六条御息所も源氏のとりこになった1人。ただ前東宮妃(前皇太子妃)ということもあってプライドの高い彼女は、源氏の前でなかなか自分の恋心をさらけ出せない。
その抑えた心はやがて燃え盛る嫉妬の炎となり、ひいては生霊および死霊と化して、後に源氏が愛する夕顔や源氏の正妻の葵の上を呪い殺し、源氏の後妻の女三の宮にも取り憑くまでに。
まあ一途な女性だったのだろうが、、、ううむ?


それにしても、男と女のことは、今も昔もそんなに変わっていない気がする。
ということは、人間はいつの時代にも基本的には同じで、源氏物語が読み継がれている理由もそこにあるのだろうね。


写真は葛飾北斎が描いた六条御息所の画(Public Domain)。
恋にのめり込んだ者の怖さと同時に、それゆえの哀れさをも感じさせる姿だね。