だしをとったあとの昆布で佃煮

 だしをとった後の昆布。
 皆さんはどうしていますか?
 
 ケチ精神が骨の随までしみこんでいる私は、使用済みのものでも決して処分しない。
 野菜や豆と一緒に煮たり、細く切って酢の物に入れたり、漬物に漬け込んだりして、再利用する。
 一番多いのが、佃煮にすることだ。

 この佃煮。
 五年前に湖北の長浜で某老舗の佃煮を宣伝販売していた時、デモ場所を通りがかったお客様の一人
に、
「佃煮くらい、私、自分で作る。店のもんにも負けへん味やで。何なら、おねえさん、作り方を教え
てあげようか? ちょっとしたコツがある」
 と言われ、それまで佃煮がうまく作れないことに疑問を感じていた私は
「ぜひ」
 とお願いし、美味しく作る方法を伝授してもらった。
 以後、我家の定番となっている。

 コツは、昆布を一晩酢につけることにあった。
 それから、甘辛く煮付ける。
 酢をたっぷり吸った昆布は、とろりとして柔らかく、芳香な香りを持つ。
 ほんの一手間だけれど、これが、昆布の風味をより引き出すのだ。
 
 本来は捨てるはずの部分で、もう一品できる。
 とてつもなく、ハッピーな気分になる。

 お客様に教えられたことは、他にも多い。