美濃加茂レポート その4

 九月二十二日。岐阜県美濃加茂市での日水の冷凍グラタンのデモ、第一日目。

 店舗オープン日なので午前七時半に入店するよう、メーカーから指示があった。
 果たして、時間内に現場であるオークワ美濃加茂店にタクシーでおもむくと、そこは既に車の山、人の山。オークワの本部をはじめ、納品もとであるメーカーからも、販売応援が多数来ていたのだ。

 どこの店舗でも、オープン日の混雑ぶりたるや、とても言葉にあらわしえるものではない。
 イズミヤ堅田店もそうだったし、イオン野洲も同じ。コープ桃山も平和堂守山水保も。
 オークワ美濃加茂も同じ、と言うより、他の店舗よりすごかったかも知れない。
「このへんは田んぼばかりで、これといった娯楽施設がありませんからな。レジャーも兼ね、家族全員で新店に買い物に出かけるんじゃないのかな」
 と、行きに乗ったタクシーの運転手さんが予測した通りに。

 あんな上を下にの騒動の中、店の担当者の方は、品だしから試食台から送り込みのサンプルから、
やはり送り込みの電子レンジまで、よくぞきちんと用意して下さっていたものだ。
「マネキンとの応対に時間を裂いてなんかいられない」
 と、普通以下の混雑でもほったらかしにする担当者は、珍しくないのよ。

 よく試食が出て、よく売れた。
 そりゃ、電子レンジで三分間チンしたら、グラタンが食べられるのだもの。急におなかがすいたり、調理する時間がない時には大助かりである。
 ただ、担当したのは、グラタンはグラタンでも、お米が入ったライスグラタン(ドリア)。
 このお米入りと言うのが、けっこう好き嫌いが分かれる。
 米とチーズはとても相性がいいんだけれどね。

 昼食はオークワ支給の幕の内弁当。成人男性のおなかに合わせた量なので、私なぞとても食べ切れない。中身自体は和食よりで好みにあっていたのだけれど。

 初日で試食皿とスプーンをおのおの650個使った。
 派遣会社が「二日分」として送り込んでいたのは、どちらも800個。
 つくづく自分でも念のために皿とスプーンを600個ずつ持ってきていてよかったと、胸をなでおろした。
 派遣会社にすれば、よもやこんなに試食が出ると想像していなかったから800個しか準備していなかったのだろうが、オープン日で、冷凍食品だからねえ。多い目に用意しておくにこしたことはない。
 冷凍食品は子どもや若い主婦には大人気なのだ。

 ホテルに帰って一風呂浴び、ウイスキーを飲んだら、天井がまわりだした。
 ラジオニュースの天気予報が、明日は雨だと予測しているのが聞こえる。おりかぶさるように、携帯のメール着信音。
 そのまま瞼がふさがってしまった。

 午前七時半入店で、午後六時あがりは、身体にはけっこうきつかったらしい。
 いい一日ではあった。