の同人誌が開いていたホームページの掲示板で知り合った。
七年前には実際にもお会いした。
息子さんの卒業した大学が京都にあったのだ。
複雑な家庭に生まれ、育ち、義務教育終了後はすぐに働かなければならなかった彼女。
二年後、地元高校の夜間部に進学し、もちろん学費はすべて自分で払って卒業。二十代前半で結婚した
ものの、実家の倒産、実母の発病、育ての親(叔母)の事故、自身の離婚と、人生の嵐が吹き寄せる。
以後、約二十年間、息子さんが大学を卒業する年まで、二人の親をも養いつつ、一家の柱として奮闘が
続く。
もっとも、お会いした彼女は、上品な顔立ちの物静かな女性で、少しもそんな苦難を乗り越えてきたよ
うには見えなかった。
「ものごころつく頃から母の再婚相手にけっこうヒドい目にあわされてきたせいかな。あまり辛いと感じることはなかった。どんな状況になっても、あれよりはマシだった。その意味じゃおとーちゃんに感謝し
ていい部分があるかも。はははっ」
彼女のエラいところは、過去は振り返っても悔やまないことだ。
こうなりたいね。