万全ではないにしろ、風邪症状は七割方おさまった。
私たちの辛いところは交代がいない点。
数年前までは、派遣会社によっては「待機」という制度があり、急病や事故、身内の不幸などの理由で現場に出られなくなったマネキンに備え、別のマネキンを待機させることで対処してきた。
不景気になると、「人件費削減」の名目のもと、削減。
少々の無理は承知で現場に立つマネキンが増えた。
と言うより、当り前になった。
それでも、現在登録している派遣会社は三社とも、インフルエンザやおなかをこわしている時は業務当日でも休ませてくれる(医師の診断書提出が前提)から、まだ救われる。
なかには、絶対に認めない会社もある。
熱が40度出てふらふらしていようが、上げ下げしていようが、
「薬を飲んで行って下さい」
と命令するのだ(命令するのは、現場体験のない本社の事務職員。ある意味、現場を知らないから
非情なセリフが吐ける)。
そりゃ現場に穴を開ければメーカーからも店舗からもクレームが来て、最悪の場合は得意先を失って
しまうので、そういう態度に出るのだろうけれど。
少し考えて欲しい。
病気になったマネキンを現場に立たせて、それで当日に穴はあけずにすむだろうが、万が一インフルエンザなり何なりがお客様に感染して拡大したら、どうなるの?
そちらの方がダメージが大きいのではないの?
それに、私たちマネキンも無理をして現場に立った結果、こじらせて重態になったところで、派遣会社もマネキンも面倒をみてくれない。
もう一つ言わせて頂ければ、
「薬を飲んで行って下さい」
と命じられても、風邪薬の場合、私たちは飲むことが出来ない。
眠くなるもんね。
「これは眠くなりませんよ」
とうたっている風邪薬も、やはり眠気は免れない。
となれば、予防に力を入れ、病気の鳴り始めに自力で治すしかない。
何度も肝に銘じている。
自分の身は自分で守る。