ハチャメチャ。
長年、安酒ばかりあおってきたクチなので、たまに少し上等の酒を飲むと、かつてのように
ロックでなく水割りでも、半分も飲まないうちに思考が麻痺し、素面なら難なく出来るはずの
ことが出来なくなる。
もっとも、「酒は食前酒と寝酒のみ」と決め、「誇りにかけて」死守してから、物事の大半
は良い方向に向かっている。
一つは各地のお茶に目覚めたこと。
緑茶、ほうじ茶、野草茶(ドクダミ茶を含む)、シャスミン茶、プーアール茶、ゆず茶、紅茶、
ハーブティ、フルーツティ、フラワーティ、ジンジャーティなど、世界には美味しいお茶がた
くさん。
どうせガブガブ飲むのなら、安酒ではなく、お茶といきたい。きっと身体にも心にも美容に
もよいことだろう(ストレートで飲むのならほとんどのお茶はノンカロリーだしね)。
現在はもっぱら味と香りで選んでいるが、いずれ効能をきちんと調べて、シーン別に飲み分
けたいと思っている。
二つは多飲しないからこそ、自分にとってのイイ酒をじっくりと味わうようになったこと。
特に寝酒がそう……なんて、現実には、仕事先で求めた地酒や大好きなバーボンをゆったり、
というわけにはなかなかいかず「いいちこのお湯割り」であることが大半なのだけれど、それ
でも、水代わりにガブ飲みする「いいちこのお湯割り」とは全く違う風味がある。
この一杯だけと念じ、ちびりちびりと有り難く口に運ぶ「いいちこのお湯割り」は、足先指
先までも、身体全体が美味しいと言っている。
なお、余談になるのを承知で。
二週間ほど前、アメリカの黒人女流作家アリス・ウォーカー(映画にもなった長編「カラー
パープル」で知られる)の短編集を読み終えた。
何年かぶりでいい本を読んだというのが実感。物語の内容そのものより、物語を通して伝え
られる作者ウォーカーの
「人種や性別、年齢、階級に関係なく、人間は自分がいる地で自分らしく生きるべき。そのた
めには、不当な介入や弾圧に対しては、闘わねばならない」
というメッセージに心惹かれた。
こんな素晴しい本の前には、酒の酔いなどなくてもハイな気分になれる。
本に限らず、感動するものにたくさん出会うのも、アルコールを遠ざ
ける方法だね。