おセイさんの小説 と アーモンドキャラメル

さんざんな思いをして自宅にたどり着いた、三日。
 風呂に入り、四日の仕事の準備をして床に入った時には、午前一時をまわっていた。

 四日は早朝の四時半に起床。
 朝食とお手洗いを済ませると、グリル鍋と炊飯器が入ったカートを持ち、出発。六時過ぎに
JR山科駅に滑り込んできた快速姫路行きに乗り込んだ。
 行き先は、大阪南部の久米田(岸和田市)。九時入店指定だったから、こんなに早く家を出な
くてもよいのだが、前日に列島を縦断した台風の影響が残っているだろうと想い、時間に余裕
をもたせたのだ。

 脳天に鉛をぶちこまれた感じなのに、前日の興奮が残り、車中でも眠れない。
 前日の現場、平和堂ビバシティ店で買ったグリコ社のアーモンドキャラメルをなめながら、
持参したおセイさんこと田辺聖子の文庫本をめくり出した。

 神経がたかぶった時、おセイさんの小説とか、ルイザ・メイ・モンゴメリの「赤毛のアン」シリーズとか、いい。
 主人公のキャラが、読み手を落ち着かせる。
 基本的に「超」がつく真面目人間で、人一倍の頑張りやさんなのだけれど、ユーモアのセンスもぴかイチ。
 苦境に追い込まれても、心ない人に意地悪されても、物事が思わぬ方向に向かっても、現実をガーンかつサラリと受け止め、ひるむこと
なく、力むこともなく、ましてやもひがみもせず、解決の方向に持っていく
 とても頭のいい女性たちだなあと感心しているうちに、こちらの興奮度もトーンダウンして
いく(もちろん、おセイさんの小説の一連のヒロインにしろ、赤毛のアンにしろ、架空の人物ではある)。 
 
イメージ 1 アーモンドキャラメルが、またイイ。一粒で二度おいしいと箱に書いてあるごとく、アーモンドとクリームがミックスした
濃厚な味が、どこかレトロなやすらぎを与えてくれる。
 ちょっとくどい甘さが、子どもだった頃に、記憶をいざなう。

 疲れたら、幼い時に好きだった味に親しみ、好きなことをす(人によっては読書だったり、音楽を聴くことだったり、スポーツをすることだったり)のが一番。
 ただし、どれも軽くなければならない。
 お菓子はワンコインで買える安菓子でなくてはならないし、本も頭を使う類いのものはダメ。音楽も交響曲やフリージャズとかヘヴィメタルではなく、聞き流せるムードミュージックやポップス。スポーツもウォーキングやジョギング。


 軽い(私にとっては)おセイさんの小説とアーモンドキャラメルのおかげで、目的地の久米田
に着いた時には、頭の重さは消えていた。