人がいるところ、必ずドラマが生まれる〜宣伝販売の仕事はやはりたなしい。

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しぶとく胃痛が続いているので、ここのところ、食事はずっと芋粥(さつまいも入りのおかゆ)。
ものがものだけに、味付けに塩気は必須で、高血圧など気にしていられないのが本当のところだ。


2週間ほど前の眠れない夜。ふと、思い出した。
デモンストレーターの仕事について2年目の16年前に近畿地方の大型店で出会った、推定4、5歳(あくまで見かけだけからの推定)の男の子。
うどんを試食販売する私が売場に立った10時過ぎから店内をうろうろしていて、何度も食べに来る(当時はアレルギー対策がやかましくなかったので、子ども1人でも試食出来た)。


そのさま。子どもとは思えないほど堂に入っている。私のデモ場所付近を徘徊しながら絶えずまわりをうかかっており、
デモンストレーションのほんの少しのスキ(試食台に置かれた数個の試食用カップに順番にうどんを注いだり、試食するお客様に商品説明を始めたり)をついて、さっと試食カップを取り上げ、食べていくのだ(なお、試食カップ自体は硬めのプラスチック製で子どもが持っても熱くないし、汁も子どもがいきなり口に入れても熱く感じないよう、心持ちぬるい目にしてある。ここいらはこちら側の配慮)。


その子が試食すること、5度目か6度目か。
「ボク、パパやママはどこにいるん?」
と、尋ねた私に、子どもは試食のうどんをガツガツと食べながら答えた。
「パパ、おれへん。ママ、ゲーセン(ゲームセンター)にいてはる」。


あの子、現在では成人しているはず。
どんな大人になっただろうと、あれやこれや想像していたら、いつのまにか彼のまわりを様々なキャラクターが取り囲み、動き出して、何かの糸に導かれるように1つのストーリーが出来上がった。
もちろん、キャラクターもストーリーも、私のイマジネーションの産物である。


いつもの癖で、キャラクターもストーリーも手帳に記入し、大まかなプロットも立てているけれど、はて、今後これがどうなるか。
いや、どうするか。


ともあれ、人がいるところ、必ずドラマが生まれる。
我々は、気づかないうちに、おのおののステージでおのおのの役割を演じ、望むと望まざるにかかわらずドラマを作り上げていくのだ。


幾多もの異なるドラマを持つ人間を間近で直に見ることが出来る宣伝販売という仕事は、やはり楽しい。


写真は、京都市内の瓦屋。