人間にとって、一番の不幸は、やることがないこと。

(注)1月27日に書いた記事。

 

今朝、FBで、ある方にあてたレスポンスを書いていて、知人のTさんのことを思い出した。


人間、誰しも命に限りがあり(そう! 悲しいかな、人は必ず死ぬのだ)、それまでにどうしてもやっておきたいことは、おのおのあるはず。
旅とか、家の増築とか、庭の整備とか、家宝の整理とか、作陶とか、その他いろいろ。
これらは、道理に反することでない限りは、執念深く追い求めてよいのではないか。


現に、このTさんは、女学校の勤労奉仕で知り合った空軍軍人候補生との交流(と言っても、デートやら文通やら、そういうのではない。せいぜい同級生たちと握ったおにぎりを差し入れしたり、その程度)が鮮烈な思い出として残った結果、彼ないしその仲間たちの時代に奔流されざるをえなかった生き様をたどり、また、その過程で自らの戦中戦後も振り返って手記にまとめ、自費出版。本の完成を見届けて逝った。


彼女にとって、この本は、子どもや孫など、後世に残しておきたいことを伝える意味合いからも、どうしてもどうしてもどうしても書かれねばならない本だったし、恐らくは
「いつかは、これをカタチに」
と、それを励みに苦労の多い日々を耐えてきたのではないかと思う。


決して、作家になって、名声と栄誉を、、、と、そんな気持ちで書いたのではないはず。


ある意味で、幸せな人生よ。
お金はなく、時にひどい嵐に見舞われても、最終ゴールに目標があるんだもの。そのために、やらなければならないことがあるんだもの。


仕事柄、多く見てきた。
スーパーの大型テレビ前や共有スペースなどで、日がな一日、虚ろな目でダラダラと過ごす、おもにリタイアの人たち。


人間にとって、一番の不幸は、もしかすると何もすることがないことかも知れないね。