大盛り試食~おばちゃんはケチなことはしない

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四月十日は、JR兵庫駅前のスーパーにて、新発売のスポーツドリンクのデモ。
商品の性質がら、デモを実施するには時期早急の感があるうえ、あ
にくの気候。季節が逆戻りしたかのような肌寒い日とあっては、
飲自体が出ないし、売上も上がらないことは、スタート前から容
易に想像出来る。

果たせるかな。
最初の一時間は販売数ゼロ。
セール日なのでお客様の数は多く、レジ前に列が出来るほどなのだ
が、ああ、まだまだスポーツドリンクに目がいく季節じゃないわな
あ……。

「仕方がない。あの手でいくか」。

あの手とは、試食や試飲のかさを増すこと。通常の倍くらいの量を
どーんと大盛りするのだ。飲料に限らず、カレーライスでも焼きそ
ばでも、あまりに売れない時、私はこの方法を使う。
ただし、次の言葉をお客様にはっきり聞き取れる声で添えて。

「さあ、さあ、今日は大サービスですよ。試食の量をいつもの倍に
しています。ね、試食って、いつもちょっとしかないでしょ。この
おばちゃんはそんなケチなことはしない。美味しいものは、やはり、ある程度の量を食べてもらわないとわかりませんからね。さあ、さ
あ、大盛りですよ」

お客様のキャラは千差万別である。心やさしいタイプ、律儀なタイ
プ、すすめられたらイヤとは言えないタイプ。
粘り強く大盛り試食を提供し続けたら
「こんなに食べさしてもろうて、買わん言うたら悪いワ」
「美味しいもの、ぎょうさん食べて、ええ日やわあ」
「まあ、いっぱい食べたからなあ」
と、購入して下さる方は、必ずあらわれる。つまり、お得感をお客
様に味わってもらった後で、その情に訴え、情に賭けるのだ。

商品が少しずつでも動き出したら、もう大丈夫。弾みがついて、売
れていく。
そうこうするうちに、「おばちゃんは気前がエエなあ」ということ
になり、ますます販売数はアップ。
そりゃ、そうだ。気前が良い人間に悪い印象は持たない。

この「大盛り試食」法には、もう一つの利点がある。
試食の量を多くすることは、売場に並ぶ担当商品をたくさん使うこ
とにもなるので、お客様の眼には商品が動いていると見える。
「よう売れているなあ。きっと美味しいんやろうなあ」。
こう思われたら、しめたもの。弾みはますますつき、商品がレジを
通過する間隔はどんどん短くなっていく。

もっとも、「大盛り試食」法=「売上増」が通用しない店もある。
先だってブログにアップした「ハイエナも真っ青の人獣」が来店客
のほとんどを占める店だ。都市部のアミューズメント型店舗に多い。
また、経費に非常に細かいメーカーの場合は、最初からこの方法は
出来ない。