現在の私は、「時間はあれどカネはない」状況。
本当は、こんな時こそ、友人知人の個展やコンサートに行きたいのだけれど、そこへ行き着くまでの交通費すらないのが現実。結局、山中での読書となる。これだと、お金は全くかからないからねえ。
ただ、持っていく本は選ばないといけない。
間違っても、ホラー小説や怪談なんか、ダメ。
それから、そこはかとない哀愁を誘う、例えば、昨年の同時期、やはり時間がありあまって読んだ「猫と鼠」(ギュンター・グラス作)みたいな作品も避けたい。
聞こえるのは木々のざわめきと風の音。こんな場所でページをめくるのだもの。「怖い」「寂しい」「切ない」はNGなのだ。
それなのに、何をどう取り違えたか。真梨幸子作のホラー小説を持ち込んでしまったのだ。
いや、怖かった、怖かった。
怖かったのに、そしてブルブル震えていたのに、一気に読了してしまった、この矛盾。
暑さゆえ?
あるいは、怖いものに、怖がりながらも惹かれている?
もっとも、人間って、そんなところがないだろうか。
だからこそ、ネッシーや雪男が語り継がれたのだ。