夏が終わってしまった。

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「暑い、暑い」と喚き、嘆いて、溜息をついているうちに、あらら、夏が終わってしまった。
それも、いつもならジットリとした粘性の熱気を含みつつ、いかにも名残惜しそうに、喘ぎ喘ぎ去って行くのに、今年は、拍子抜けするくらい、あっさりとした退陣だった。

さて。
何度かこのブログでも繰り返している通り、我々の業界は、八月から九月前半にかけては仕事が非常に少ないのが通例である。今年も同じ(それでも八月は仕事が14日あった。プライベートな理由から断らなければ、16日もらえた)。たちまち収入に、すなわち生活に響いてくる。
にもかかわらず、どうしたのだろう、今年は落ち着いたものだった。派遣会社への「お仕事おねだり」も、最低限にすませた......家の財政は相変わらずで、クレジットカードの決済日が近づいてくると額にシワを寄せてお金の計算をしているんだけれどね。

これは、きっと「山中読書」がもたらした、意識の変化によるものだろう。暇あれど金なしの日々だったので、光熱費を節約する意味合いからも、自宅背後にそびえる標高600m級の山に文庫本持参で登り、読書に励んだのだが、これが意外なプラス効果を、体ばかりか心にも与えたのだ。

集中力アップ。
欲望鎮静。
さらに、生き方のダンシャリ。
自分にとっての「快適」が、具体的にわかってきたのである。

私は、愛しい家族と寄り添い、コトバを「食べ」、適量の酒を飲んで、イマジネーションを紡いでいれば、生きていける人間だ。
収入は、それを満たすことが出来る範囲でよい。
私のための「快適」。それを得るために働く。

また、仕事は、金と同じで、ない時にはどこをどう突ついてもないのだ。ガンガン電話をかけて「お仕事おねだり」をしまくっても、ある意味、エネルギーの無駄。

業界に入って十年。やっとそのあたりの流れがわかってきた。