野菜ジュースは野菜ジュース

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繰り返す。
今年の夏は異常だった。雨が多く、いかにも「ニッポンの夏」という感じの、高温多湿な油照りの日がほとんどなかった。
そのぶん涼しくは過ごせたが、土砂災害も含め、困った事態に次々と見舞われた。

一つが、野菜の高騰。
八月三十一日に仕事で訪れた福知山市の中堅スーパーでは、キュウリが三本278円で売られていたが、ここ京都市でも同じようなものだ。
どうりで、当日に担当した野菜ジュースのデモンストレーションが盛況だったはずだわ、、、。
「(健康のため)野菜はとらなきゃならないのだけれど、本物の野菜はいま高過ぎて買えない。じゃあ野菜のジュースで」と考えるお客様が増えたのだ。

「野菜ジュースには、ニンジンやらキャベツやらホウレンソウやら、たくさんの種類の野菜が入っているやろ。これも嬉しいねん」
ケースで購入して下さったお客様の一人は、私に語った。
「本物の野菜を買う場合でも、決まったもんになりがち。煮る必要があるのはどうしても敬遠してしまうから」。
ああ、わかる。料理が出来上がるまで時間がかかるし、味付けもけっこうメンドウ。マヨネーズやドレッシングをかけただけでも食べられるレタスやトマトを、つい選びたくもなるわなあ。
そこに加え、サトイモなどは皮を剥く時に手がかゆくなるし、ゴボウやレンコンは酢水につけてアクをとらないといけない。
やっかいだよね。
「野菜ジュースなら、そんな手間をかけなくても、とりにくい野菜の栄養素を摂取出来る」
お客様がこんなふうに解釈するのももっともかも知れない。

そう理解した上で、やっぱり私は疑問に感じてしまう。
「野菜ジュースは野菜の代用になるの?」
と。

そもそも、野菜を絞ってジュースにする過程で、野菜を野菜たらしめている食物繊維はほとんど失われてしまうわけよね。この時点で野菜ジュースはしょせん「野菜のジュース」でしかないんじゃないかな。

逆説的な発想をしたら、野菜のつぶつぶ感や食物繊維の、少なくとも半分は残した野菜ジュースを開発したら、それは画期的な商品。お客様にも大受けするだろう。
ぜひメーカーさんにチャレンジしていただきたい。

個人的には、野菜ジュースは、医療に例えたら「応急処置」だと思っている。
誰にでもある、どうしても野菜が不足してしまった日。
野菜ジュース一本飲むのと飲まないのとでは、多少なりとも違うはずだ。

写真は、走る電車の中で撮った福知山城。
桜の季節だったら、遠くから眺めても相応の迫力がある。