望む教育を受けることができない

仕事仲間の1人(仮にAさんとする)は、30代前半で離婚した時、総白髪になったと言う。
「ストレスがすごくて。いや、離婚そのものよりそこへ至るまでの悩みや苦しみ」。
ご主人だった人は、慰謝料はおろか養育費も期待出来ない状況にあったので、引き取った2人の子どもは彼女が育てていかねばならない。
Aさんは必死で職を求めた。

ここで、彼女は愕然とした。
ハローワークの紹介で応募しても、「小さな子どもがいるから、(職場を)休むことも多いだろう」と判断され、面接すらしてもらえないのだ。
やっと、とある公共施設の職員の仕事を得たが、身分はパート。1時間働いてナンボでは、連休がある月とか年末年始などは、とても暮らしていける額ではない。
Aさんは、職場が休みである土日も働こうと、デモンストレーター派遣会社に登録した。

幸い子ども2人は素直に育ち、現在ではどちらも独立。上のお子さんは昨年に結婚してまもなく親になる予定だと口元をほころばせた。
かように現在では平穏な日々を送っている彼女だが、実は悔やんでも悔やみきれないことがあると言う。
それは、まさにその上の子どもさんの進学を、経済的な理由からあきらめさせたこと。
「看護師になりたいと、中学から言っていて、私もお金がないなりに節約にも励んでコツコツと貯め、本人も高校になったらアルバイトをして積み立てていたんだけれど、私の父が病気をして母に泣きつかれてね、、、。離婚までの間、両親にはさんざん迷惑かけたから、放っておくわけにはいかない」
結局、上の子どもさんは高校を卒業するや、すぐに働きに出た。

「離婚して、手に職がない辛さを見にしみて味わったから、あの子にはどうしても希望をかなえてあげたかった。
でも、どうにもならなかった」。

こんなケース。実は多いと思う。
能力も意欲もある人が、経済的な事情により、望む教育を受けることが出来ない。
何とかならないものか。
奨学金を受けるにしても、本人が借金を抱え込むことに変わりはないんだものね。