フェニモア先生シリーズ

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(注)2021年12月12日に書いた記事。

 

邦題「フェルモア先生、墓を掘る」(ロビン・ハサウェイ作、坂口玲子 訳」

 

(あらすじ)
患者の健康よりも効率が優先されがちな大病院のあり方に疑問を感じ、父から受け継いだ診療所で昔ながらの治療を続けるフェルモア先生は、実は私立探偵という顔も持っている。
ある日、愛猫の遺体を抱いていた少年ホレイショと知り合い、その埋葬を手伝うために地面を掘っていたら、そこには何と女性が埋められており、しかも彼女は知人の医者の息子の婚約者だった。
死体の奇妙な姿勢に疑問を抱いたフェルモア先生の奮闘が始まる、、、。


主人公フェルモアが医師であることもあり、しばしば医学や薬学の専門用語が登場し、物語の進行やトリック解明に大きな役割を果たすが、登場人物同士の会話を通じて素人にもわかりやすく解説されているので難解感はない。
それよりも、人種のるつぼであるアメリカに根強く横たわる出自に対するこだわり(先祖がメイフラワー号に乗ってやってきたとか)や先住民に対する意識。こちらの方が、感覚的に日本人の我々には今ひとつわかりにくく、だからこそ、読後感にある種のやりきれなさが残る。


そのことを差し引いても、読みやすい文章と展開。何より、フェルモア先生のあたたかいキャラに惹かれるね。