1枚のPOP(店頭広告)から考える〜その2

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昨日、POP(店頭広告)の話題を振ったので、もう1つ紹介しよう。


これは、2年前の我が拙ブログにも載せたのだが、こちらもイイPOPだと思う。
色合いやレイアウトなどのデザインがどうのこうのと言うのではない。見るお客さんの、自分でも意識していない深層心理を見事に掴み、いつの間にか購入に結びつけてしまう、その企みがニクイのだ。


ここは、比較的に高年層のお客さんが多い、極めて小ぶりな店。立地は住宅街のど真ん中で、いわゆる「私たちのかかりつけスーパー」。


時期は3月で、ほうれん草は、ぶっちゃけ、季節外れ。
そこで、販売担当者は考えたのだろう。


「60代以上のお客さんは、ほうれん草は秋のものと思い込んでいる傾向があるし、メニューも和食もの中心。
ここは、パンやパスタにもマッチする、そして春らしい軽快感があるレシピを提案し、売上に結びつけたい。もちろん、サッと作れるものでなくては」。


彼か彼女だかは、料理本をめくり、レシピを検索。
「こりゃエエ」
と、ピンときたものを選び出した。


私が評価したいのは、この後、彼か彼女だかが、これを整理し、わかりやすく、それも温もりのある手描きでまとめたことである。


皆さんは目にされたことはないか、ラップされた調理見本(恐らくそこで働いているパートさんが作ったのだろう)が、そのレシピを掲載している雑誌のページと共に、店内のそこかしこにディスプレイされているのを。


あれは、調理見本がよく知られているメニュー、例えばちらし寿司とかうな重(うな丼)とかならビジュアル的にも見栄えがしてお客さんに喜ばれるのだが、一般的でないメニューや初めて聞くメニューの場合は、お客さんにとってはまことに不親切なのよ。


だって、考えてごらんなさい。商品が入った買い物かごを下げたまま、高い位置から雑誌を読むのは不便でしょ? 字も見えにくいし。
それなら、お店の人の手で、字の大きさにも配慮しつつ易しく書いたものを、こちらと同じ目線で読ませて欲しいのだ。


読んでいると、作りたくなってこない?
そう感じさせた時点で、このPOPはもうじゅうぶんに仕事をしている。