試食メニューの予行演習も「料理」というより「実験」。

f:id:ellenyannyan:20210227153010j:image

 

(注)2月18日に書いた記事。

 

ある中華系調味料をデモしていた時、試食されたお客様の1人にこう尋ねられたことがある。
「おねえさん、うまいこと、作りはるなあ。これ、家で練習しはったん?」
「はい。二度ばかり」
「やっぱり! と言うのは、ウチもこの仕事、やっててん、、、昔。そうやよね。作り慣れているメニューならともかく、初めて作るものや手が込んだものって、レシピ通りに作っても一回目はなかなかうまくいかない。いろいろ微調整して、三回目くらいで味が決まるね」。


まさしく。
家族なら、少々失敗してもかまわない、すなわちそのまま食卓に出すのだが、人様に食べてもらうとなると、しかも、その味が「売上」という数字となって後々(あとあと)あらわれてくるとなると、、、ねえ!
味具合により、水や調味料を足したり引いたり、火加減や調理時間など細かい店まで留意して味を整え、絶対の自信を持って現場に立てるまで作り直す。
そう! 試食メニューの予行演習もまた、「料理」というより「実験」だよ。


「実験」なのだから、作る都度データを集め、派遣会社を通してメーカーから送られてくるレシピに書き込む。
そうやって出来上がった「本番用レシピ」。いったいどのくらいファイルしてあるのか本棚をみてみると、おお、おお、あるわあるわ。


ただし、、、ここからが肝要なんだな。「実験」の結果生まれた、100パーセントに近い人々が「美味しい」と舌鼓を打ってくれた「本番用レシピ」が、仕事を離れたプライベートでも活用されているかと言うと、見事にノーなのだ。
「こんな手間暇かかって、普段は使わない食材を使った料理。炊事以外にもやらなければならないことはたくさんあるし、食費に予算もあるのに作ってられるかいな」。
これが偽ざる本音。


やはり「実験」は「実験」。「遊び」の一種だ。ゆえに楽しく、ゆえに実用的ではなく、ゆえに頻繁には作れない。
だからこそ、本や映画に登場する料理を作る行為にワクワクを感じるのだろう。


だとしたら、この発想を応用し、普段よく作るメニューに実験要素を取り入れてみたらどうだろう。日々キッチンに立つのが楽しみになり、レパートリーも広がるのではないか。


例えば、肉じゃが。味噌やキムチやトマトソースなど、うまく使えば変わり肉じゃがが出来るね。さらに、じゃがいもではなく里芋を使ったりさつま芋を使っても面白い。


写真は、青椒肉絲(チンジャオロース。Wikipedia)。仕事で作ったのは、これよりピリッとさせた四川風の青椒肉絲で、はあ、試食品を作るのが大変でした(販売商品は、オイスターソース、豆板醤や甜麺醤紹興酒など)。
試食用に提供する時は、ご飯と一緒に食べないぶん、味付けを心持ち薄くしないといけないしね。