レンジでチンは大人気

 りんごが半分あまったので、ジャムにしてみた。
 電子レンジを使うと五分で出来る。
 娘が巣立って夫婦二人きりの所帯に戻って洋食を食べる機会が減った今、ジャムはこれくらいの量が
ちょうどいい。

 このレンジでチン。
 試食販売の現場でも、お客様に大受けである。
 以前、心斎橋に本店がある高級昆布屋のつゆを使ってカボチャの煮物を作るデモを担当したが
「へえ! これが、レンジを使ったら三分で作れるの?」
 と、お客様の興味をひいたこと、ひいたこと。
 もっとも、試食自体は普通に鍋で作るのだけれど。

 レンジは万能とまで言い切る勇気はないけれど、使いこなせば、カレーやシチューのような煮込み料
理にも、肉じゃがや筑前煮などの煮物にも、大活躍。
 忙しい時は大助かり。
 それに、もやしやしゅんぎくをさっとゆでて調味料と混ぜ合わす「和え物」には、光熱費の上でも、
ガスを使うより安上がりかも知れないと思う。

 実はね、土曜日に担当したハインツのチャウダーのデモでも、お客様に言われたのよ。
「これ、具材いれて、チャウダーのもといれて、牛乳いれて、あとはレンジでチンというわけにはいか
ないんかな? 忙しい時にガスに向かうの嫌やし、あらいものも冬はじゃまくさいねん」。

 なるほどねえ。
 私だって、例えば回鍋肉を、仕事で疲れてクタクタになった身で一から作るの、イヤだな。
 材料を、とにかく切るだけは切るから、味付けは市販の「もと」がして頂き、あとはレンジ様におまかせ、というような具合なら、
「わっ、今日は楽しちゃお。レンジ様がお働きの間に、何かもう一つ作っちゃお」
 という気になるもの。
 ガス台も汚れないし。

 もちろん、お休みの日には、じっくりと時間をかけ、丁寧に作る。
 要は、めりはり。