目立つための逆転の発想

 一月、特に前半は、本当に暇だと思う。
 クレジット会社やローン会社に名前をすりかえた借金取りは返済期日を待ってはくれないから、他の
仕事を見つけてでも働かないといけないんだが、実際はダラリダラリしている。
 これではいけない。

 原稿用紙を買ってきた。
 昨年から、また公募ガイドを買ってきて、料理レシピをはじめ、標語やらミニエッセイやら童話やらコンクールに応募しているのだが、ほとんどはウェブから投稿しているせいか、入選確率は10%。
 そんな中、某ウルトラローカル文芸賞ながら、二つが予選通過した。
 ここで
「はた!」
 と思いついた。
 この二作、私はアナログ方式、つまり原稿用紙に肉筆で書く昔ながらのやりかたで応募したのだ。
 もしかすると……目立ったのかも知れないね、この古くさい応募方法が、逆に。

 レシピはともかく、特にエッセイや童話などの文芸ものは、書くことだけに専念して応募しまくっている人が珍しくない。そういう人はテクニックは抜群。私など足元にも及ばない。
 だとしたら、目立つしかないやん。
 ちょうど、試食販売の現場において、包丁がうまく使えない私が、カラフルな盛り付けとニコニコ顔と元気のよい声で目立ち、「どうってことない試食」を「おいしいと感じさせる試食」に錯覚させているように。
 ほんま、愛想のよい飛び跳ねているような販売員から薦められ、「美味しいでしょ?」と問いかけら
れたら、実際はそう大した味ではなくても、人は「うんうん」とうなづいてしまうものだ。
 
 これから、当分、時代に背を向け、机にしがみついてペンを走らせるアナログおばさんといこう。

 そうそう!
 料理レシピも、最近は
「ギョエーッ。なんちゅう取り合わせや」
 と目を剥くようなメニューがけっこう喜ばれる。
 多国籍にして無国籍。
 世界は一つ。
 美味しいものは美味しい。
 食べて、飲んで、笑えて、楽しい気分になったらよろし。
 料理の世界も変わりつつある。