エージェンシーは、メーカーからのクレームを恐れてか、
「絶対にレシピ通りに作れ」
と指示してきたが、家で予行演習してみた限りでは、明らかに味が薄い。
あの味では売れない。
最初は小細工しようかとも思った。
だしでたけのこを下茹でしておいて、後、がんもどきやらふきやらを入れ、まあ、他の味でカモフ
ラージュするわけ。
本番直前になって決めた。
「私が美味しいと感じる味をお客様に提供しよう。レシピよりうんと調味料を入れないといけないけ
れど、要は美味しかったらええやん」
結果は大成功。
皆さん、美味しい美味しいと、ほめて下さり、食べて下さって、試食は一度も余ることがなかった。
売上以前に、こちらの方が嬉しい。
わけても、
「あらっ。この子、たけのこ食べてるわ。今まで食べへんかったのに」
と驚く母親に
「だって、美味しいもん。ママ、作ってえー」
とせがむ子どもに負け、たけのこを買っていった若い主婦が数人いたこと。
本当に自分の味覚で作ってよかった。
そもそも、巡回にきたリケンの営業マンも試食して
「薄味でたけのこの旨味がよく出ていて、いいっすね」
と言っていたもんね。
これからは、自分の味覚に自信を持とう!!!
それにしても、あのレシピ、誰が考えたのかしら?