公募、またも当選

今日、聞き慣れない名称の団体からメール便が届いた。
「何?」
 開けてみて、驚いた。
 昨年の秋、応募した企業主催の文芸コンクールからの入選通知だった。
 原稿用紙にして五枚程度の拙い童話に、佳作が与えられたのだ。

 もっとも、当の私は、一瞬、きょとーん。応募したことすら、完全に忘れていた。
 何故なら、そのコンクールに原稿を送った時、私は、エッセイにしろ童話にしろ小説にしろ、コンクールに落ちて、落ちて、落ちまくり、
「このトシまで芽が出なかったちゅうことは、やっぱ才能がないんや。でも、私から書くことを奪ったら後に残るものは、さあて?」
 と自問自答する日々だったからだ。
 つまり、きざな言い方をすれば、失意のどん底で書き上げた作品だった。

 あの頃は、プロになりたかった。
 その足がかりとして、賞が欲しかった。
 切望していた。

 プロへの情熱を失った現在、受賞にとまどうばかり。

 でも……少し考えてもいいな。
 プロになるとかならないとかの次元ではなく、うーん、今はうまく言えない。