昨夜こそ詳細を書こうと思っていたのに、けっきょくウイスキーの酔いがまわって、九時過ぎから夢うつつとなってしまった。
素面の今、書こう。
オープン店だから?
メーカーが指示した入店時間は午前七時。これでは、自宅最寄り駅の地下鉄東野を始発で出発してもとうてい間に合わないため、前日から宿泊することになった。
米原発の特急列車に乗り込み、車内販売されていたコーヒーの芳醇な風味に舌鼓を打ちつつ(お世辞ではなく、本当に美味しかった。一説には都ホテルで出されているコーヒーと同じなんだそうな)、窓わくにしがみつき、ガラスを掠めては後方に流れ去る風景を食い入るように見入った。
実は、
「電車の中で読もう」
と、文庫本を三冊持ってきていたのだが、せっかく知らない土地ヘ来たのだもの、ここでしかお目に
かからないものにお目にかからないともったいないよね。
そっ。本は後でも読める。
正直、何と言うことのない景色だった。
山があって、木が繁っていて、川が流れていて、草が風になびいていて、マッチ箱みたいな田畑が
並ぶ。どこにでもある「日常」。ありふれた光景。
ど、違った表情を持ち、時に輝いてさえ見える。
不思議だ。
「へえ! 天下分け目の関ヶ原はこんなところにあったんだ」
と、いよいよ眼をこらす。
関ヶ原は時代劇ではおなじみの地ながら、どのあたりにあるか、正確な位置を知っている人は案外
少ないのではないか。
そんな思いが脳裏をよぎった。
と、ここまで書いたところで、一回目の洗濯物が仕上がった。
干してこよう。
このレポート、続くよ。